キューバ映画『交換します』
監督:フアン・カルロス・タビーオ
制作:1983年
原題:Se permuta
年頃の娘と2人暮らしのグロリアはグアナバコアというハバナ中心から少し離れたダウンタウンに住んでいる。
娘に言い寄る男が工場で働く労働者では、いい生活は望めない。母親はベダードというハバナの高級地区に引っ越したいと夢を見る。
革命下のキューバでは不動産はすべて国家のものであり、勝手な売買は不可能である。そこでキューバ人たちが行っているのは、お互いの合意のもとでの「住宅交換」である。
自宅前に「交換します Se permuta」と看板を出して、引っ越し先探しをしていることを告知する。
こうしてグロリアは、逆にグアナバコアに引っ越しした家族を探し出し、一回目の引っ越しでベダード地区への引っ越しに成功する。
すると娘に早速、白人の広告マンが言い寄り、相思相愛の仲になる。グロリアが夢見ていた社会上昇ストーリーが目に見えるところにあらわれたわけである。
ちなみに娘はハバナ大学に通い、都市計画を勉強中の大学生である。
さてこの娘と恋人が結婚するとなると、直に子どもも生まれるだろうし、大きな新居が必要になる。母グロリアは新たな引っ越しを考え、周囲を探す。
こうして、グロリアは一家AをB宅に引っ越させ、一家BはC宅に引っ越させ、一家CはD宅へ、と複雑な引っ越し計画を立て、みんなが満足する予定だった。
ところがそうは問屋がおろさず、最終的には当初の娘と恋人が別れてしまい、新たな男と未来を描き、当初の引っ越しの目的がなくなってしまう……
この映画は、もとは演劇作品(交換 La Permuta)で、前のエントリーで書いた『ある程度までは Hasta cierto punto』のなかの劇中劇として部分的には「映画化」されていたものだ。
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