2022年4月25日月曜日

4月25日 近況 図書新聞3541号に書評が掲載されました

雨が降れば寒く、晴れると暑い奇妙な4月も後半に入り、新年度の慌ただしさにも少し慣れたところ。

この前の金曜日、4月22日は晴れてとても気持ちの良い日だった。こういう日は教室にいるのももったいないような気がしてしまう。緑あふれる樹々と青空。



図書新聞3541号に、書評を掲載していただきました。取り上げたのは、シルビナ・オカンポ『蛇口--オカンポ短篇選』(松本健二訳)、東宣出版、2021。


今週の図書新聞は海外文学特集といった感じで、マバンク『アフリカ文学講義』(みすず書房)について、粟飯原文子さんと中村隆之さんの対談がメイン。

その横、なんと1面に僕の書評を載せていただいたので、とても嬉しく思っている。そうそうあることではないような……

ラテンアメリカ文学作品では他に、バルガス=リョサ『ケルト人の夢』(野谷文昭訳、岩波書店)、エドガルド・コサリンスキイ『オデッサの花嫁』(飯島みどり訳、インスクリプト)の書評が掲載されている。評者はそれぞれ、仙田学さん、石井登さん。スペイン語の小説3点がいっぺんに書評されることもまたそうそうあることではないような……

それから、1面下段広告に東京外国語大学出版会の新刊3点が掲載されています。

2022年4月12日火曜日

4月12日 出版会のこと、「ピエリア」のこと、その他。

新学期も始まってほぼ1週間。あとは水曜日の授業が待っている。

東京外国語大学出版会のリレー講義(オンライン)が始まる。シラバスはこちら。この第1回が明日である。コーディネーターは、出版会から分厚い翻訳書を上梓されたばかりの野平宗弘先生。

出版会は毎年春、主に入学生を対象にしたブックガイド「ピエリア」を刊行している。この春にももちろん出て、図書館入り口や研究講義棟の1階ガレリアなどで配布している。

真冬の最中、強力な学生スタッフも参加して出来上がった冊子だ。この前、とある有名な作家の方と連絡を取ったら、その方のもとにもこの「ピエリア」が届いていることを知った…… 

この春の特集は「古典」で、そこではマヌエル・プイグの『蜘蛛女のキス』を紹介し、学生中心の企画「映像から地域を読む」では、ムヒカ元ウルグアイ大統領が外大に来た時の模様を収めた映画を紹介した。

かれが外大に来る折には、いろんな意見が飛び交って、すったもんだもあったような気もするが、今となってはもう遠い過去。こういう映画ができなければ、誰の記憶にも残らないのではないか。映像には、知っている顔も映っている。

書いていて思い出したが、ムヒカの講演の時、事前に質問を考えていたスペイン語専攻の学生たちが何人かいて、その1人が僕の横に座っていた。大きなホール、大人数の中で挙手するのは勇気がいるので緊張していて、手を挙げるべきかどうか、迷っていた。その迷う姿に妙に感情移入してしまったものだ。



そうそう、東京外大のFacebookやTwitterでも、レオナルド・パドゥーラ著、拙訳の『わが人生の小説』を告知していただいている。版元はAmazonに書影を載せないので、それはちょっとだけ残念。まあ仕方のないことだが。

大学HPに載せた訳者コメントはこちら。もっともっと長く長く、止めど尽くせぬコメントがこの本についてはあるのだが、それはまた別の機会に譲るしかない。

そういえば、この前キューバのGranma紙で、キューバの文学研究者アンブロシオ・フォルネー(Ambrosio Fornet)の訃報に接した。1932年生まれだから、89歳か90歳ということになる。かれには一度だけ挨拶というか、握手をしたことがある。優しい顔立ちで、simpáticoな人だった。1999年の夏で、その後、かれの本を読むたびに、あの時のあの人なんだよなあ、と思っている。

『わが人生の小説』の草稿を読んでパドゥーラに助言したのは、アンブロシオ・フォルネーである。

かれの本もざっと書影を掲げたいが、それはまた別の機会にしよう。

2022年4月2日土曜日

4月2日:近況 翻訳書出ます

水声社から翻訳書の見本が届きました。

キューバのレオナルド・パドゥーラ『わが人生の小説』です。






装幀は宗利淳一さん。

使われている絵はキューバの画家レネ・ポルトカレーロ(René Portocarrero, 1912-1985)のもの。

タイトルは『ハバナの風景』(1961年)。

パドゥーラの小説のカバーにポルトカレーロの絵!

下は帯。




タイトルからもわかるように、『わが人生の小説』は内容としても分量としても重く、翻訳中に押しつぶされそうで、わからなかったり、それが原因で進まなかったり、「わが人生の翻訳」になってしまうのではないかと不安になったが、どうにか完成にこぎつけた。どうしたものかと悩んでいた箇所は、幸運としか言いようがない人物との出会いによって乗り越えられた(訳者あとがきで少し触れています)。


この翻訳書については断続的に書いていく予定。


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読書会で読んでいた『ケルト人の夢』を3月末に読了。11月11日にはじめて全18回。今後は6月末のワークショップに向けて準備に入ります。