2019年7月26日金曜日

500年のハバナ

最新号の「Cuadernos hispanoamericanos」はキューバ特集だった。


Cuadernos hispanoamericanos, Número 829-830, julio-agosto 2019.

第1部は文学特集で以下の3本。順に、21世紀のキューバのエッセイ(試論)、小説、詩の動向がまとめられている。

Astrid Santana Fernández de Castro, La seducción del riesgo. Comentarios al ensayo cubano del siglo XXI.

Nanne Timmer y Adriana López-Labourdette, La nación narrada. Propuestas para una cartografía de la novela cubana contemporánea.

Yoandy Cabrera, La mula en el abismo: poesía cubana en el comienzo del siglo XXI.

第2部はハバナの建築について以下の4本。

Joaquin Ibáñez Montoya, 1519.
María José Pizarro Juanas y Óscar Rueda Jiménez, La reinterpretación de lo cubano en La Habana del siglo XX.
Ada Esther Portero Ricol, Mirelle Cristóbal Fariñas y José Antonio Yánez Balbuena, La Habana, ¿mi vieja Habana?
Fernando Vela Cossío, La Habana, 500 años. Un legado compartido.

最初の論文の題はシンプルに1519だが、これはハバナが創設された年である。ラテンアメリカの植民都市は起源が明確になっていることが多いが、ハバナは500年前だったのだ。

思いついて、Quinientos años de La Hanabaとグーグルで検索したら、ちゃんとサイトがあった。

エル・パイース紙はすでに2018年の年末にこんな記事を載せていた。

そしてついこの前、7月20日、詩人ロベルト・フェルナンデス=レタマールが死んだ。1930年6月生まれなので、89歳だった。

最後に見かけたのは、2018年にカサ・デ・ラス・アメリカスでゆっくり階段を降りているところ。

2019年7月17日水曜日

近況:チリを知るための60章

明石書店の『〇〇を知るための』シリーズの中で、ラテンアメリカの中ではチリがなかった。


それがついに出版された。


細野昭雄・工藤章・桑山幹夫(編著)、『チリを知るための60章』、明石書店、2019年。

60章のうちの59番目で「チリ文学」について紹介した。

先日、出版の前祝いを兼ねたわけではないけれども、この本にも紹介のあるチリ料理店に行った。新中野の「エドゥアルドの家(Casa de Eduardo)」という店。この店のみならず、周辺の雰囲気も最高である。ぜひ再訪したい。

2019年7月16日火曜日

『ハッパGoGo 大統領極秘指令』その他

前回のエントリーを書いたあとに、さらにキューバの雑誌Pensamiento críticoが届いた。

Pensamiento crítico, número 43, agosto 1970.


スペインの古本屋はキツキツの段ボールで包装して送ってくるのだが(郵送費を最低限に抑えるためだと想像しているのだが)、封を切るときに表紙の左下あたりを少し傷めてしまった。綺麗な表紙だっただけにもったいないことをした。

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公開されたばかりの『ハッパGoGo 大統領極秘指令』をみてきた。


エンドクレジットが終わってからのムヒカの言葉が素晴らしい。この出版社の方は嬉しいのではないか。どういうことか、見た方ならお分かりだろう。

ということで連絡しておいたのだが、見に行ってくれるだろうか。

笑いどころはいくらでもあるけれど、ラテンアメリカ的には、「駐米ウルグアイ大使になりたい」というお母さん、そして「ああ、可能性はある」というムヒカのところだろうか。

こういう会話が本気でありまた冗談として交わされるのがいい。今の駐米ウルグアイ大使は女性である。

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映画『新聞記者』を見た。平日の11時過ぎの回で満員!危うく入れないところだった。

2019年7月3日水曜日

キューバ文芸誌:Pensamiento crítico(2)

キューバの文芸誌、Pensamiento críticoが近頃何冊か手に入った。どれも1970年に出たもの。

Pensamiento crítico, número 38, marzo 1970.

ここには50ページにわたり、ヘスス・ディアスが「レーニンのマルクス主義(El Marxismo de Lenin)」と題された論考を書いている。以下の書影が38号。


続いて、40号。

 Pensamiento crítico, número 40, mayo 1970.


 40号の特集はパレスチナ。目次は以下の通り。


169ページからはパレスチナの詩が4篇載っている。アラビア語で書かれたものが最初フランス語に訳され、そこからスペイン語に訳された。詩人と詩のタイトルは以下の通り。

Mahmoud Darouich(マフムード・ダルウィーシュ、1941-2008。パレスチナ独立宣言を起草した)、 Observaciones acerca de la canción.

Tawfiq Azzayad, No partiremos.

Salim Djabran, El ahorcado.

Samih Al Qassim(サミーハ・アル=カーシム), A pesar de todo.

最後のページには以下のメッセージがある。

君の眼はパレスチナ
 君のタトゥーも

君の思考はパレスチナ
 君の衣服
 君の足、君の形も

言葉はパレスチナ
声はパレスチナ
君の命はパレスチナ
君の死はパレスチナ

そして44号。

Pensamiento crítico, número 44, septiembre 1970.


44号の特集は「帝国主義と軍事主義」。

特に米国のそれが批判される。そのために、論文以外のページに「広告」も載せられる。

広告されるのは以下のような絆創膏。

ガーゼは傷にくっつかないし、糊の部分も剥がす時に痛くない製品だとのコピーがついている。



このほか、タバコ(Camel)やセロハンテープ(Scotch)、目薬、インスタントカメラ(コダック)、トイレットペーパー(Delsey)などなどの「広告」ページがある。

どのページも、ヴィジュアルイメージに戦場や兵士を使っている。マッド・アマノのやっているようなパロディである。

戦場で傷ついてもこの絆創膏、このトイレットペーパー、この目薬を使えば大丈夫、というわけである。

44号の表紙は首のない「スーパーマン」。