2018年12月28日金曜日

キューバ文学史

キューバ文学史は、最近では以下の3巻本が便利である。

Instituto de Literatura y Lingüística, Historia de la literatura cubana, Tomo I, II, III, Letrac Cubanas, 2002, 2003, 2008.

第1巻は「植民地期:起源から1898年」。表紙の絵はエステーバン・シャルトランの「夜明け」。



第2巻は「1898年から1958年。共和国期」。表紙はレネ・ポルトカレーロの「セーロの内部」。この絵は1943年に描かれた。



第3巻は「1959年から〇〇年まで」。さて何年までだろう?


ご覧の通り、「革命期(1959-1988)」。そして1989年から1999年までの文学も補遺として掲載。

表紙の絵はセルバンド・カブレラ・モレーノの「農民兵」(1961)。

2018年12月19日水曜日

キュアロン&セルジオ

アルフォンソ・キュアロン監督のメキシコ映画『ローマ(Roma)』をみた。

1970年代初頭のメキシコシティ、ローマ地区(Colonia Roma)に暮らす中流階級の上の方(Clase media alta、アッパーミドル)に属する家族の物語。

キュアロン監督は1961年生まれなので、彼が10歳くらいのときの、かなり自伝的で、当時の地区の雰囲気を再現したものなのだろう。

大きな屋敷で、大きな車があって、家族も大きくて(3世代)、父は留守で(場合によっては家を出ていて)、住み込みの使用人がいる。メキシコシティに住んだ経験のある人なら、こういう家は結構想像がつくのではないか。

ストーリーには、この映画を賞賛しているエレナ・ポニアトウスカの短篇「El limbo」(『De noche vienes』所収)と少々似通ったところがある。使用人の女性が妊娠してしまったのを、彼女を雇っている家族が助けようとするというエピソードだ。

その後、エルネスト・ダラーナス監督のキューバ映画『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』をみた。

こちらの方は1991年のハバナ、セントロ・ハバナ地区に暮らす家族と、宇宙ステーションにいるロシア人の話。

ダラーナス監督はキュアロン監督と同じ年に生まれ、1990年代の経済危機の頃は30代だった。監督によれば、その時の思い出はむしろ素晴らしかったとのことで(映画パンフレットに載っていたインタビュー)、だからファンタジーとして描くことができたのだろう。

いかだを作ったり、密造酒を作ったりして、なんとか切り抜けたキューバ人たちが出てくるが、こういうエピソードは多くの作家がいろんな小説で描いている。

主人公はアマチュア無線を趣味として、マルクス主義を教える大学の先生で、大学のシーンも多々出てくる。撮影場所として使われたのは国立芸術学校(ENA)だろう。

映画についての辛口の批判は例えばこちら

2018年12月15日土曜日

近況

『チリの闘い』上映会が無事に終了した。

このイベントのために使った本を二冊。


上の本は、第1部「ブルジョアジーの叛乱」と第2部「クーデター」の脚本をメインとして、序文を寄せたのがマルタ・ハーネッカー、フリオ・ガルシア・エスピノサ。

そのほかパトリシオ・グスマンがクリス・マルケルに送った手紙、またその返信など。
1972年12月のこのクリス・マルケルの返事はただ一言。

「Haré lo que pueda.(できることをする)」

書誌情報は以下の通り。

Patricio Guzmán, La Batalla de Chile: la lucha de un pueblo sin armas, libros Hiperión, Editorial Ayuso, Madrid, 1977.

下の本は、パトリシオ・グスマン研究書。

Jorge Ruffinelli, Patricio Guzmán, Cátedra/Filmoteca Española, Madrid, 2001.


--------------------