2020年7月25日土曜日

7月の終わり頃

いよいよ梅雨明けなのかと思わせてくれる夕立やセミの鳴き声。ところが簡単には明けてくれない。

秋学期の授業も基本的にオンラインになりそうな気配。こんな感染状況で教室に学生がきてよいのだろうか。どこか集団感染が発生するを待ち構えてもいるようなムードがある昨今の状況では、大学の再開は難しくなるばかりだ。

前にも書いたけれど、授業は基本的にオンラインで確保することにして、大学は図書館の利用やクラスメートとの雑談、サークルやクラブ活動を許容する方がいいと思う。多少のリスクはあるけれども・・・

授業のことでいえば、設備上、一つの授業をオンラインでも対面でもできるようになってほしいものだ。

教室でやっている授業を、通学の危険をおかしたくない学生や、体調が優れないので自宅で受けたいという学生たちのためにオンラインでも受講できるように配慮する必要が出てくるだろう。

もちろん教員だってそうだ。自宅からなら配信できるが、教室に行くのは避けておきたい時がある。

果たしてどうやったら対面・オンライン授業ができるのか。秋になる頃には解決しているのだろうか・・・

今年の採点はかなりの難業である。だいたい例年の2倍の学生が履修しているので数が半端ない。根を詰めると目が回ってきて体調を崩す。なので、休み休み慎重に進めている。その合間に2年前に出したこの本で書き足りないところを補おうと思って書いている。

×月×日はオープンキャンパスだった。日頃は閑散とした大学も、この日ばかりは雨にもかかわらず訪れた大勢の高校生たちで賑やかなキャンパスに・・・なんていうわけはなく、オンラインである。Zoomで質問を受け付けてそれに答えながらあれこれ大学のことを紹介した。

自宅だと色々と集中力を削がれるので大学から配信した。大学ですれ違う先生と立ち話をすると、自宅からの配信に不安があってきている人が多い。



2020年7月17日金曜日

7月17日 

大学ではオープンキャンパスの準備が進んでいる。もちろんオンラインなので教員たちは動画素材の準備をしている。相談会もある。

久しぶりに訪れた大学の風景は一段と緑の侵食が進んでいて、ここまで草木が生い茂っていたかと思うくらいで、足元もあちこちから雑草が育っている。これが学生のいない大学というものなのだろうか。

あるリレー講義でオンデマンドタイプの授業を用意した。日頃はリアルタイムのオンライン授業しかやっていないので、収録ははじめてだった。自分でボイスレコーダーを用意して、15分ぐらいで一つのテーマ、それを5本録音した。合計75分になる。資料はレジュメを用意した。

録音素材を聞いてみると気になるところが出てきたりする。むかし放送大学の講座で何本も読み上げ原稿を作ったが、あの時はスタジオでの収録で、ディレクターの方もいたから相談しながらできたのだが、今回は一人で夜中に録音・・・ 

音声ファイル、レジュメのほかに、コメントシートの指示もしないといけない。200人近い受講者がいるので心配していたけれども、無事に視聴は進んでいるようだ。

後期(秋学期)の授業形態もすでにアナウンスされている。受講人数ではなく、科目群によってオンラインの科目あり、対面の科目あり。といってもこれは感染状況が落ち着いていればの話。学期開始1ヶ月前に最終決定をするようだ。 

そもそも3月の終わり頃は、2、3週間のオンラインを乗り越えればなんとかなるだろうだった。そこから始まって、5月の終わりには(なんとかなる)、ときて、結局春の学期はまるごとオンラインになって、この分じゃ秋以降も・・・になっている(大きな大学ではなおのこと)。このウィルスとの付き合いには腰を据えないといけないんだね。

[個人的には授業はオンラインにして、キャンパスはもう少し自由に使えるようにできないものか。感染に気をつけて、社会的な距離を守りながら、人と会ったり、話したり、クラブ活動をやったり。そういうことが練習できる空間にならないものだろうか。ま、まずは授業なのだから無理なんでしょうけれど。]

下の写真は7月8日、近くの運動公園で撮った。久しぶりに太陽の光が出たので飛び出した。せめて青空くらいは見たいものだ。


前回のエントリーには別のタイトルも考えていた。Trágame, tierra y ... (穴があったら入りたい)。

2020年7月7日火曜日

7月7日 Error y horror/キューバ映画『La bella del Alhambra』

このところ、オンライン授業に慣れてきたといったって、やっぱりそんなでもないということを改めて思い知らされることがあったりして、やや自信喪失。今回のミスはオンライン授業ならではというわけではないのだが、何かミスがあった時に、教室で面と向かって「ごめん!」と言えないのがオンライン授業。「面と向かって」という言葉のもたらす意味が今じゃあ全然違う。

天気もすっきりしない日々が続いて味方になってくれない。気が晴れない。こんなに梅雨空が続いた梅雨があったかな。雨よ、止んでくれないか。コロナウィルスよ、収束してくれないか。

そんなのは無理というもので、といって大きな感染拡大がないとすれば(もはや何を感染拡大というのかもわからない未知の状況にいるのだが)、秋学期はどこの大学も、学生・教員・事務方のだれもが混乱するオンライン・対面の混合型になるだろう。

Zoom立ち上げて授業をやろうとしたら、あれ間違った、この授業は対面だった、なんてこともあるんじゃなかろうか。

PCの前というのは、風景が変わらないから、教室ならば顔ぶれを見て、ああ先週はこの話だったな、と思い出されるものが、ほとんど思い出されてこない。せいぜい受講生の数の多い少ないでZoom画面の見え方に差が出るくらいで、先週はこれをやった、という実感がどうも持てない。

だからAクラスの授業資料をBクラスのサイトにアップし、CクラスのテストをDクラスで実施するなんてこともありそうで怖い怖い。今から不安だ。もちろん学生にもオンラインならではの不安があって、送信したが届いているだろうかというような問い合わせは随時ある。だから、お互いにより優しく、より親密に、より深くコミュニケートすることが必要だ。

喉の疲れ方が教室とは微妙に違って、本当ならオンラインの方が楽であって良いはずなのに、そうはならない。なぜだろうか。必要以上に力が入ってしまうのだろうか。

週末、DVDでキューバ映画の『La bella del Alhambra』という映画を見た。1989年の作品で、実はこれがその年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされている。前に紹介したミゲル・バルネーの『ラチェルの歌(Canción de Rachel)』を下敷きにして作られた映画である。

『La bella del Alhambra』とは、「アルハンブラ劇場の美女」ということ。



アルハンブラ劇場というのはハバナに実在した劇場。住所はConsuladoとVirtudesの角。地図で見ると、パルケ・セントラルに近い。

こんな記事もあった。カルペンティエルもこの劇場について何度か書いているようだ。「クリオーリョ主義の避難所」で、ここで伝統的なダンソンを聴くことができたそうだ。

映画の中では、主に風刺劇(サイネテ)が上演されているようだった。「鸚鵡の島(La isla de las cotorras)」という作品が映画ではクライマックスに使われている。20世紀初頭、「青年の島(Isla de la juventud)」がキューバと米国の間で領有権が争われていたことを踏まえている。

踊り子のラチェルは恋人がいるのだが、この作品がきっかけで・・・という。

想像していた以上に楽しい映画で、見てよかった。

そうそう、英語版の『ラチェルの歌』も本棚からでてきました。

Miguel Barnet, Rachel's Song, translated by W. Nick Hll, Curbstone Press, 1991.


2020年7月4日土曜日

7月4日 キューバ語で読むロシア文学

気がついたらもう7月ですね。

6月30日になんとか更新しようかと思っていたけれど、過ぎてしまった。最近では6月の終わりに1年の半分が終わったする風潮があるようだ。

2001年と2002年の6月30日ならよく覚えている。

2001年の6月は蒸し暑い日が多かった印象が強く、その日は土曜日で、朝から雨は降っていないものの、蒸し暑さで体が重く感じた。

翌年の2002年のその日はW杯サッカーの決勝戦が戦われた日だ。

ブラジルとドイツ。ドイツのキーパーがオリバー・カーン。彼がゴールポストにもたれて座っている姿は多くの人の記憶に残っていることだろう。確かあの日も雨か曇りか予報が難しい日であったのではないか。

この3ヶ月ぐらいのあいだ、あれもやらなきゃこれもやらなきゃと過ごしているうちに、この学期も最後のひと月になった。

最近では飛行機がかなり飛んでいる。感染者の数は増え続けながら、それでも日常に戻り続けようともしている。2001年の9月に飛行機は恐ろしい乗り物になってしまったが、今、空を飛ぶ飛行機を見ていると、実際に乗れるのがいつかはわからないとはいえ、希望を感じさせてくれる。

大学もいよいよ秋学期以降のことを決断しなければならない時期に来ているらしい。所属している学会も秋の大会をどのようにするか、所属している研究会も秋にどうするかなどなど、秋以降のことが議論されつつある。

この前久しぶりの青空の日に外に出ることができたら、急に絵葉書のような風景に出会った。



キューバで出ているロシアがらみの短篇集を整理した。

まずはこれ。



Cuentos rusos(Selección y prólogo de José Rodríguez-Feo), Instituto del Libro, La Habana, 1968.

プーシキン、ゴーゴリ(「鼻」)、レールモントフ、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、トルストイ、チェーホフ、ゴーリキー、イヴァン・ブーニンといった作家たち。15000部。

ついでこちら。


Isaac Babel, Cuentos, Editorial Arte y Literatura, La Habana, 1977.

収録作品は「騎兵隊」、「オデッサ物語」、そして短篇がいくつも。

イサーク・バーベリの本には翻訳者の名前が書かれている。アンヘル・ポソ・サンドバル(Ángel Pozo Sandoval)と、ホセ・フェルナンデス・サンチェス(José Fernández Sánchez)の2名。

そして最後がこちら。


Cinco escritores de la Revolución Rusa(Selección y prólogo de Roberto Fernández Retamar), Editorial Arte y Literatura, La Habana, 2009[初版1968].

ロシア革命5人衆ということで、アレクサンドル・ブロークの詩が2篇(「12の詩人」と「スキタイ人」)、フセヴォロド・イワーノフ「装甲列車」、ヴィクトル・シクロフスキー「感傷旅行」、イサーク・バーベリ(「塩」他2篇)、マヤコフスキーの詩と講演。マヤコフスキーの詩では、やっぱりキューバ訪問時の詩(ブラック・アンド・ホワイト)が入っていた。