2016年8月10日水曜日

キューバ文学(30)マドリード篇

マドリードで入手した本。キューバ文学篇

Enrique Lage, Jorge, La autopista: the movie, Esto no es Berlín eidiciones, 2015.

ホルヘ・エンリケ・ラへは最近ではラテンアメリカ短篇集の常連作家。1979年生まれ。その彼の最新作と思われる。

フロリダとキューバを結ぶ高速道路を建設したとしたらどうなる?という仮想未来小説。

続いて、亡命キューバ人が創設して、残念ながら閉じてしまった出版社Colibríから出たものから何冊か。

Jiménez Leal, Orlando y Manuel Zayas, El caso PM: Cine, poder y censura, Editorial Colibrí, 2012, Madrid.

1961年、わずか14分のドキュメンタリー映画「P.M.」の上映が禁止され、これをもってキューバ革命と文化人との闘いがはじまった。

この本は、そのときの関係者の資料などをもとに作られている。ネットでは読んだことがあったが、この映画をめぐって開かれたカストロと文化人たちの会議の議事録が収められている(1961年6月16日と23日分)。

その他、以下の2冊も入手。

Hernández Busto, Ernesto, Inventario de saldos: Apuntes sobre literatura cubana, Editorial Colibrí, 2005, Madrid.

1968年生まれの著者はソ連留学経験がある。92年にキューバを離れたあとメキシコに10年ほど住んで、そのあいだオクタビオ・パスの雑誌「Vuelta」にかかわる。その後バルセロナへ。いまは「El País」や「Letras Libres」などに寄稿している。翻訳もやっていて、パステルナークの翻訳書がある。

この人には Diario de Kioto(京都日記)という本がある。メキシコ出身で日本在住のアウレリオ・アシアインさんが紹介文を書いている。2015年の出版。ひょっとして電子ブックかもしれない。

続いて

Del Risco, Enrique, Elogio de la levedad : Mitos nacionales cubanos y sus reescrituras literarias en el siglo XX, Editorial Colibrí, 2008, Madrid.

タイトルは『軽さの礼賛:キューバ国民神話と20世紀におけるその文学的書き換え』

ホセ・マルティ=キューバの父という物語は、革命後に「創造された神話」だと批判するのがラファエル・ロハスで、この著書のエンリケ・デル・リスコさん(1968年生まれ)もそれに依拠しながら論を進めている。

[この項、続く]

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