2017年5月15日月曜日

キューバ文学ー老人と海のあいだ

Esteban, Ángel, Literatura cubana entre el viejo y el mar, Renacimiento, Sevilla, 2006.



タイトルではヘミングウェイが言及されているが、実際には出てこない。著者は「老人」(=古さ)と「海」の二つは、共にキューバ文学にとって本質的な何かであるという。

古さは、植民地にとっての宗主国スペインの重みとしてのしかかる。海の方は、ピニェーラの詩の冒頭「いたるところ水の呪わしい環境」として。

となるとヘミングウェイこそキューバ作家ということになる。

それはそれとして、エステバン氏の本は以下のような流れでキューバ文学をたどる。

第1部「失われたテキストを求めて」ーキューバ文学の起源に関する論争
  バルボアの「Espejo de paciencia」を起源として良いのか?1595あたりに書かれ、
  近年発見されたアロンソ・デ・エスコベダの「フロリダ」はどうなのか。最後にこの「フロリダ」が引用される。
 
第2部 ホセ・マルティを巡って

第3部 モデルニスモと「オリーヘネス」から、世紀末までの詩
  ベッケルのキューバ滞在などから「オリーヘネス」など

第4部 ブームから現代までの小説
  カブレラ=インファンテ、レイナルド・アレナス、ヘスス・ディアス、フリオ・トラビエソ、アビリオ・エステベス、レオナルド・パドゥーラなど。

スペイン人ということもあるのだろうが、スペインの作家とキューバの関係、スペインの出版状況についてもかなり詳しく書かれている。

アビリオが『王国はお前のもの Tuyo es el reino』をトゥスケッツ創業者の一人、ベアトリス・デ・モウラに渡したこととか、2006年当時、彼がトゥスケッツ社の仕事をしているとか。どういう仕事かはわからないが。

アンヘル・エステバンといえば、邦訳のある『絆と権力ーガルシア=マルケスとカストロ』の著者の一人である。

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