スペイン王立アカデミーが折に触れて刊行している「名作」の記念版シリーズにボルヘスとルベン・ダリーオが入った。
ダリーオは昨年が没後100年だった。
Rubén Darío, Del símbolo a la realidad(Obra selecta), Real Academia Española, 2016.
序文や解説を書いているのはセルヒオ・ラミレスやホセ・エミリオ・パチェコなど。
一方、ボルヘスは昨年で没後30年。
Jorge Luis Borges, Borges esencial, Real Academia Española, 2017.
El mundo cambia constantemente.
ラテンアメリカ文学、キューバの文学、カリブの文学などについてメモのようなものを書いています。忘れないように書いているというのもあるけれど、忘れてもいいように書いている。書くことは悪魔祓いみたいなもので、書くとあっさり忘れられる。それがいい。
Escribir es un acto de exorcismo. Escribir cura, alivia.
2017年6月24日土曜日
2017年6月8日木曜日
アフロ・ラテンアメリカ[2017年9月30日追記]
最近の二冊
Jackson, Richard, Black Writers and The Hispanic Canon, Twayne Publishers, New York, 1997.
表紙はキューバのナンシー・モレホン。
Andrews, George Reid, Afro-Latin America 1800-2000, Oxford University Press, New York, 2004.
この他、Casa de las Américas 36-37号(1966)と、同誌264号(2011)などを眺めている。
-------------------
[2017年9月30日追記]
その後、以下の本。
Leslie B. Rout, Jr. The African Experience in Spanish America(with a new introduction and bibliographical update by Miriam Jiménez Román and Juan Flores), Markus Wiener Publishers Princeton, Princeton, 2011.
Jackson, Richard, Black Writers and The Hispanic Canon, Twayne Publishers, New York, 1997.
表紙はキューバのナンシー・モレホン。
Andrews, George Reid, Afro-Latin America 1800-2000, Oxford University Press, New York, 2004.
この他、Casa de las Américas 36-37号(1966)と、同誌264号(2011)などを眺めている。
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[2017年9月30日追記]
その後、以下の本。
Leslie B. Rout, Jr. The African Experience in Spanish America(with a new introduction and bibliographical update by Miriam Jiménez Román and Juan Flores), Markus Wiener Publishers Princeton, Princeton, 2011.
2017年5月31日水曜日
キューバ映画『Cuba baila キューバは踊る』
監督はフリオ・ガルシア・エスピノサ。
ICAICが創設されて間もない1960年、革命最初期の映画である。
革命より前の時代のハバナという設定。
資金力がない夫婦が15歳になる娘の誕生日を盛大に祝おうとする。当然多くの困難に出会う。場所にしろ音楽にしろ、立派な客を招待するので恥をかきたくない。
15歳の誕生日と言えば、娘が父とワルツを踊るのが定番で、メキシコで一度出たことがあるが、それはそれはかなりのイベントだった。
あくまでブルジョア家庭並みの誕生会を開きたい母親フローラ。彼女はどんどん妄想を膨らませ、おかしくなっていき、夫の上司にまで借金を頼む。娘にも階級が上の男を用意しようとする。それに対し、夫ラモンは気弱で、妻に振り回される。娘には相思相愛の恋人がいる。
そういえば、グティエレス=アレアの『12の椅子』も椅子探しにどんどん深みにはまっていく話だった。『ある官僚の死』もそうだ。
この『キューバは踊る』はメキシコ・キューバの合作で、プロデューサーにマヌエル・バルバチャノ・ポンセの名前がある。メキシコの映画人で、ブニュエルの映画や、ガルシア=マルケス原作の映画も制作している。
気づいたのだが、カルロス・フェンテスの短篇「純な魂」の映画も彼が作っている。『Los bienamados』というもので、2部構成。前半がフアン・ガルシア・ポンセの「タヒマラ」、後半がフェンテスの短篇だ。
ICAICが創設されて間もない1960年、革命最初期の映画である。
革命より前の時代のハバナという設定。
資金力がない夫婦が15歳になる娘の誕生日を盛大に祝おうとする。当然多くの困難に出会う。場所にしろ音楽にしろ、立派な客を招待するので恥をかきたくない。
15歳の誕生日と言えば、娘が父とワルツを踊るのが定番で、メキシコで一度出たことがあるが、それはそれはかなりのイベントだった。
あくまでブルジョア家庭並みの誕生会を開きたい母親フローラ。彼女はどんどん妄想を膨らませ、おかしくなっていき、夫の上司にまで借金を頼む。娘にも階級が上の男を用意しようとする。それに対し、夫ラモンは気弱で、妻に振り回される。娘には相思相愛の恋人がいる。
そういえば、グティエレス=アレアの『12の椅子』も椅子探しにどんどん深みにはまっていく話だった。『ある官僚の死』もそうだ。
この『キューバは踊る』はメキシコ・キューバの合作で、プロデューサーにマヌエル・バルバチャノ・ポンセの名前がある。メキシコの映画人で、ブニュエルの映画や、ガルシア=マルケス原作の映画も制作している。
気づいたのだが、カルロス・フェンテスの短篇「純な魂」の映画も彼が作っている。『Los bienamados』というもので、2部構成。前半がフアン・ガルシア・ポンセの「タヒマラ」、後半がフェンテスの短篇だ。
2017年5月29日月曜日
キューバ映画『Cuba 58』
「仕事の日」「恋人たち」「新年」の3部からなる映画。1962年。
表題にある通り、1958年のキューバ。
「仕事の日」と「恋人たち」の監督はスペイン人ホセ・ミゲル・ガルシア・アスコー。ガルシア=マルケスが『百年の孤独』を捧げた人物である。
「仕事の日」は警官が夜のパトロールを行った様子をドキュメンタリー風にまとめたもの。ドラッグストア、賑やかなナイトクラブ、娼館などをめぐり、警官が闇世界と通じていることが知らされる。革命前のハバナの享楽的な雰囲気だ。パトカーの中ではラジオの野球中継が流れている。最後はハバナ大学の大階段のところで学生デモを取り締まる。
次の「恋人たち」では、政府軍に追われている男が、革命軍に合流するために連絡係を待っている。舞台(あるいは撮影された場所)はサンティアゴ・デ・クーバらしい。危険を逃れるために恋人役を一人つけてもらう。その二人が過ごす一日。男の方を演じているのはセルヒオ・コリエリ(『低開発の記憶』のセルヒオ)。夜があけ、男はシエラ・マエストラに向かう。女との別れの場面で二人は初めて本名を伝え合う。
「新年」は警察署で三人の警官が地下の拷問部屋(?)で男を拷問をしていると、サイレンが聞こえる。電話で知らされたのは、バティスタが亡命し、革命が勝利したことだ(1959年1月1日)。さて三人はどうするか。逃げるのか、それとも… 三人がいた地下室は一瞬にして牢獄に変わり果てる。脚本に『ベルチリオン166』のホセ・ソレル・プイグが参加している。監督はホルヘ・フラガ。
この「新年」をグティエレス=アレアの『革命の物語』に入れるかどうかで議論があったが、結局入らず、ホセ・ミゲル・ガルシア・アスコーの撮った2本とまとめられた。
表題にある通り、1958年のキューバ。
「仕事の日」と「恋人たち」の監督はスペイン人ホセ・ミゲル・ガルシア・アスコー。ガルシア=マルケスが『百年の孤独』を捧げた人物である。
「仕事の日」は警官が夜のパトロールを行った様子をドキュメンタリー風にまとめたもの。ドラッグストア、賑やかなナイトクラブ、娼館などをめぐり、警官が闇世界と通じていることが知らされる。革命前のハバナの享楽的な雰囲気だ。パトカーの中ではラジオの野球中継が流れている。最後はハバナ大学の大階段のところで学生デモを取り締まる。
次の「恋人たち」では、政府軍に追われている男が、革命軍に合流するために連絡係を待っている。舞台(あるいは撮影された場所)はサンティアゴ・デ・クーバらしい。危険を逃れるために恋人役を一人つけてもらう。その二人が過ごす一日。男の方を演じているのはセルヒオ・コリエリ(『低開発の記憶』のセルヒオ)。夜があけ、男はシエラ・マエストラに向かう。女との別れの場面で二人は初めて本名を伝え合う。
「新年」は警察署で三人の警官が地下の拷問部屋(?)で男を拷問をしていると、サイレンが聞こえる。電話で知らされたのは、バティスタが亡命し、革命が勝利したことだ(1959年1月1日)。さて三人はどうするか。逃げるのか、それとも… 三人がいた地下室は一瞬にして牢獄に変わり果てる。脚本に『ベルチリオン166』のホセ・ソレル・プイグが参加している。監督はホルヘ・フラガ。
この「新年」をグティエレス=アレアの『革命の物語』に入れるかどうかで議論があったが、結局入らず、ホセ・ミゲル・ガルシア・アスコーの撮った2本とまとめられた。
2017年5月22日月曜日
ドキュメンタリー『Elián』
1999年から2000年にかけてマイアミのキューバと島のキューバで闘われた「エリアン」の所有権。
その時のドキュメンタリー映画ができたようだ。トレイラーはこちら。 エル・パイース紙の記事はこちら。
フロリダ海峡で遭難した時のことを語るエリアンの声。「多分僕のことを覚えているだろう。覚えていないかもしれない。」
当時、多くの作家がこの事件について書いた。その一人にヘスス・ディアスもいる。2000年の1月に書かれたこのコラムのタイトルは「壊れたキューバ」。
最後はこう結ばれている。「(カストロが死んだ後)、キューバはキューバを開くことができるだろうか。つまり、島のキューバ人のみならず、マイアミにいるキューバ人、ディアスポラにあるキューバ人とともに、民主化に向けてキューバを開くことができるだろうか?」
----------------
「いかだ難民 Balseros」をテーマにした映画では、前に書いた『Una noche』の他にもいくつかある。
そもそもは80年代の時点で、マリエル港事件の時にキューバを船ででた人物を使ったフィクション映画があって、それが『スカーフェイス』だ。
ギャング映画としてあまりにも有名になったこの映画の冒頭は、マイアミに着くキューバの船を写したドキュメンタリー映像が使われている。
『ウェストサイド物語』のプエルトリカン・コミュニティもさることながら、『スカーフェイス』のキューバ、コロンビア系移民の描き方はどう見ても問題だ。
実際、イバン・デ・ラ・ヌエスによれば、『スカーフェイス』のヒーローがマリエルっ子(Marielitos)であることに、キューバ人はかなり腹を立てていたという。
キューバ危機をめぐるスパイ映画『トパーズ』(ヒッチコック)にもカストロやゲバラが出てくるが、あれもドキュメンタリー映像を使っていると思う。
その時のドキュメンタリー映画ができたようだ。トレイラーはこちら。 エル・パイース紙の記事はこちら。
フロリダ海峡で遭難した時のことを語るエリアンの声。「多分僕のことを覚えているだろう。覚えていないかもしれない。」
当時、多くの作家がこの事件について書いた。その一人にヘスス・ディアスもいる。2000年の1月に書かれたこのコラムのタイトルは「壊れたキューバ」。
最後はこう結ばれている。「(カストロが死んだ後)、キューバはキューバを開くことができるだろうか。つまり、島のキューバ人のみならず、マイアミにいるキューバ人、ディアスポラにあるキューバ人とともに、民主化に向けてキューバを開くことができるだろうか?」
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「いかだ難民 Balseros」をテーマにした映画では、前に書いた『Una noche』の他にもいくつかある。
そもそもは80年代の時点で、マリエル港事件の時にキューバを船ででた人物を使ったフィクション映画があって、それが『スカーフェイス』だ。
ギャング映画としてあまりにも有名になったこの映画の冒頭は、マイアミに着くキューバの船を写したドキュメンタリー映像が使われている。
『ウェストサイド物語』のプエルトリカン・コミュニティもさることながら、『スカーフェイス』のキューバ、コロンビア系移民の描き方はどう見ても問題だ。
実際、イバン・デ・ラ・ヌエスによれば、『スカーフェイス』のヒーローがマリエルっ子(Marielitos)であることに、キューバ人はかなり腹を立てていたという。
キューバ危機をめぐるスパイ映画『トパーズ』(ヒッチコック)にもカストロやゲバラが出てくるが、あれもドキュメンタリー映像を使っていると思う。
2017年5月17日水曜日
メキシコ文学論
Fornet, Jorge, Reescrituras de la memoria, Letras Cubanas, La Habana, 1994.
これがホルヘ・フォルネーが最初に出した本のようである。メキシコ革命文学論。
取り上げられるのは4人のメキシコ女性作家の作品。
ネリー・カンポベージョ(Nelly Campobello, 1900-1986)の『Cartucho』(1931)。
エレナ・ガーロ(Elena Garro, 1916-1998)の『Los recuerdos del porvenir』(1963)。邦訳は『未来の記憶』(冨士祥子、松本楚子訳)。
エレナ・ポニアトウスカ(Elena Poniatowska, 1932-)『Hasta no verte Jesús mío』(1969)。
アンへレス・マストレッタ(Ángeles Mastretta, 1949-)『Árrancame la vida』(1985)。こちらは映画版『命を燃やして』が日本語で視聴可能。
これがホルヘ・フォルネーが最初に出した本のようである。メキシコ革命文学論。
取り上げられるのは4人のメキシコ女性作家の作品。
ネリー・カンポベージョ(Nelly Campobello, 1900-1986)の『Cartucho』(1931)。
エレナ・ガーロ(Elena Garro, 1916-1998)の『Los recuerdos del porvenir』(1963)。邦訳は『未来の記憶』(冨士祥子、松本楚子訳)。
エレナ・ポニアトウスカ(Elena Poniatowska, 1932-)『Hasta no verte Jesús mío』(1969)。
アンへレス・マストレッタ(Ángeles Mastretta, 1949-)『Árrancame la vida』(1985)。こちらは映画版『命を燃やして』が日本語で視聴可能。
2017年5月15日月曜日
キューバ文学ー老人と海のあいだ
Esteban, Ángel, Literatura cubana entre el viejo y el mar, Renacimiento, Sevilla, 2006.
タイトルではヘミングウェイが言及されているが、実際には出てこない。著者は「老人」(=古さ)と「海」の二つは、共にキューバ文学にとって本質的な何かであるという。
古さは、植民地にとっての宗主国スペインの重みとしてのしかかる。海の方は、ピニェーラの詩の冒頭「いたるところ水の呪わしい環境」として。
となるとヘミングウェイこそキューバ作家ということになる。
それはそれとして、エステバン氏の本は以下のような流れでキューバ文学をたどる。
第1部「失われたテキストを求めて」ーキューバ文学の起源に関する論争
バルボアの「Espejo de paciencia」を起源として良いのか?1595あたりに書かれ、
近年発見されたアロンソ・デ・エスコベダの「フロリダ」はどうなのか。最後にこの「フロリダ」が引用される。
第2部 ホセ・マルティを巡って
第3部 モデルニスモと「オリーヘネス」から、世紀末までの詩
ベッケルのキューバ滞在などから「オリーヘネス」など
第4部 ブームから現代までの小説
カブレラ=インファンテ、レイナルド・アレナス、ヘスス・ディアス、フリオ・トラビエソ、アビリオ・エステベス、レオナルド・パドゥーラなど。
スペイン人ということもあるのだろうが、スペインの作家とキューバの関係、スペインの出版状況についてもかなり詳しく書かれている。
アビリオが『王国はお前のもの Tuyo es el reino』をトゥスケッツ創業者の一人、ベアトリス・デ・モウラに渡したこととか、2006年当時、彼がトゥスケッツ社の仕事をしているとか。どういう仕事かはわからないが。
アンヘル・エステバンといえば、邦訳のある『絆と権力ーガルシア=マルケスとカストロ』の著者の一人である。
タイトルではヘミングウェイが言及されているが、実際には出てこない。著者は「老人」(=古さ)と「海」の二つは、共にキューバ文学にとって本質的な何かであるという。
古さは、植民地にとっての宗主国スペインの重みとしてのしかかる。海の方は、ピニェーラの詩の冒頭「いたるところ水の呪わしい環境」として。
となるとヘミングウェイこそキューバ作家ということになる。
それはそれとして、エステバン氏の本は以下のような流れでキューバ文学をたどる。
第1部「失われたテキストを求めて」ーキューバ文学の起源に関する論争
バルボアの「Espejo de paciencia」を起源として良いのか?1595あたりに書かれ、
近年発見されたアロンソ・デ・エスコベダの「フロリダ」はどうなのか。最後にこの「フロリダ」が引用される。
第2部 ホセ・マルティを巡って
第3部 モデルニスモと「オリーヘネス」から、世紀末までの詩
ベッケルのキューバ滞在などから「オリーヘネス」など
第4部 ブームから現代までの小説
カブレラ=インファンテ、レイナルド・アレナス、ヘスス・ディアス、フリオ・トラビエソ、アビリオ・エステベス、レオナルド・パドゥーラなど。
スペイン人ということもあるのだろうが、スペインの作家とキューバの関係、スペインの出版状況についてもかなり詳しく書かれている。
アビリオが『王国はお前のもの Tuyo es el reino』をトゥスケッツ創業者の一人、ベアトリス・デ・モウラに渡したこととか、2006年当時、彼がトゥスケッツ社の仕事をしているとか。どういう仕事かはわからないが。
アンヘル・エステバンといえば、邦訳のある『絆と権力ーガルシア=マルケスとカストロ』の著者の一人である。
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