このCCCBは、2年前はボラーニョ展を、ついこの前はゼーバルト展をやっていたところである。とてもすばらしい本屋が併設されている。
今回見たPiso Pilotoはメデジンのアンティオキア美術館とバルセロナのCCCBの共催だという。
何年もかけて双方で行き来があったようで、メデジンのラッパーEl AKAがバルセロナを訪問したという記事も見つかった。El AKAの曲はたとえばこれ。
企画そのもののページはこちら。
世界的な観光都市バルセロナと、かつての犯罪都市メデジンに共通点があるとは。
どちらも地理的にこれ以上広くならない限界を抱え、それぞれ産業が盛んで、国内で第二の都市の規模を擁する。また、文化的にも首都との違いがあるとされる。
そして、どちらも都市開発が目覚ましいとのことである。要するにジェントリフィケーションだ。あまり掘り返せないような植民都市の多いコロンビアで、ジェントリフィケーションを実現しているのはメデジンかもしれない。
住宅問題を抱えていない都市はないだろうが、2014年の「エル・パイース」紙の記事によると、バルセロナでも住宅問題は喫緊の課題だ。ついこの前もこんなオピニオンが掲載されている。不確かな世界における住宅の確保は、安全という蜃気楼を求めてとのことだという。
バルセロナもメデジンも都市交通網にロープウェイがあり、似た風景を探すことができる。
この展示の入り口で、8分ほどの映像を見ることができる。画面の左はメデジンの一日、右はバルセロナの一日の様子を映したものだ。トレイラーはこちら。
メデジンでもバルセロナでも、山から見下ろした町並みがあり、川があり、自動車専用道路が走り、電車が動き、ロープウェイが浮かび、街路には人が溢れ、ダウンタウンがある……。どちらの街でも同じような一日の流れがある。
ここまで似せられるのかというほどよく似せていて、確かにその通りなのだ。
あのガウディのグエル公園からの眺めと、メデジンの展望台からの眺めが似ていると言って、納得してくれる人がいるだろうか?
バルセロナの都市と住宅に関する具体的事情はなかなか想像しにくいが、メデジンは容易に想像できる。街を取り囲む丘の斜面に暮らす人々の住宅問題は、メデジンの当局が解決しなければならない課題である。バルセロナも同じような問題を抱えていたらしい。
メデジンの場合、丘全体にロープウェイ(メトロカブレ)を通したのも、その斜面(コムーナと呼ばれる地区)の人々の移動を可能にするためだ。
都市における住宅問題というのは、要するに公的空間と私的空間のせめぎあいである。都市が都市として機能するためには、住人のプライベートのケアは避けてとおれない。
このような二都市の共同展示企画Piso Pilotoは、全体が40ほどの部屋に分かれていて、そこで、ポスターセッションや映像資料などが展開される。
2015年3月のメデジン訪問と同じ年8月のバルセロナ訪問がこんな風に結びついた。
写真は、上がメデジンで、下がバルセロナ。どちらも筆者が撮影したもの。
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