2015年8月23日日曜日

パトリシオ・グスマン監督作品『光のノスタルジア』『真珠のボタン』


パトリシオ・グスマンの映画を2本見る機会をいただいた。

すぐには言葉にならない、心の奥底に残る映画だった。



『光のノスタルジア』と『真珠のボタン』の2部作。チリの話だ。




『光のノスタルジア』はチリの北、アタカマ砂漠で展開する。



チリのアタカマ砂漠には天文台がある。日本も参加しているプロジェクトである、アルマ望遠鏡もここにある。アタカマ砂漠は高度が2000メートル以上ある。



天文学者へのインタビューで始まり、教育テレビのように分かりやすく宇宙の神秘についての考えが示される。スペイン語もとても分かりやすい。優しい話し方だ。この優しい話し方にどこか聞き覚えがあるような気がするのだが、思い出せない。



天文学者が覗く望遠鏡のおかれたこの砂漠にはいくつかの物語がある。



19世紀のチリ硝石のブームとその終焉。



ピノチェト政権による行方不明者の死体を探す女性たち。






天文学の語りと行方不明者を探す女性たちの語りが交錯していく。



『真珠のボタン』ではチリの南、西パタゴニアが舞台になる。



ここにはカウェスカル族やその他の少数民族へのインタビューが展開する。水の民の生活。そこを征服したヨーロッパ文明。



そして、海に眠るピノチェト政権による行方不明者の死体。レールに縛り付けられてヘリコプターから投げられた死体だ。



砂漠と海のどちらにも70年代の軍政の跡が残っている。





0 件のコメント:

コメントを投稿