2023年5月28日日曜日

5月28日 『TAR /ター』とアマゾン、そして近況

映画『TAR /ター』の主人公リディア・ターはベルリン・フィルではじめて女性で首席指揮者になった人物だ。映画はできるかぎり現実世界との連続性を持たせようと、実在の人物によるターへのインタビューが冒頭シーンに据えられている。

仮構は仮構として面白いと思ったのは、アメリカ生まれの彼女はペルー・アマゾン、ウカヤリ(Ukayalí)地方に住む先住民シピボ=コニボ族(Shipipo-konibo)の音楽の専門家ということである。5年間アマゾンで調査をした経験が、彼女が出版しようとしている本で書かれている。

そのペルー音楽は映画でも流れる。Elisa Vargas Fernándezの「Cura Mente」という曲だ。Youtubeには、映画制作よりも昔の映像がある。例えばこれとかこれ

シピポ=コニボ族の住むウカヤリは行政単位としては県のようだが、その首都はプカルパ(Pucallpa)である。バルガス=リョサの作品に慣れ親しんでいればよく聞く地名で、『ラ・カテドラルでの対話』でアンブローシオがアマーリアと行った場所だ。

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バルガス=リョサの方の進展で言うと、『果てしなき饗宴』から、その翻訳者工藤庸子の『恋愛小説のレトリック』(東京大学出版会、1998)を経由して、そこから芳川泰久『『ボヴァリー夫人』をごく私的に読む』(せりか書房、2015)へ。



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近況としては、昨日今日と気圧低下できついけれど、そう、先週末に3年ぶりにスペイン語文学研究会が復活して4時間を超えた。この分なら午前午後から続く5、6時間くらいの研究会ができる環境になってきたということで、楽しみだ。

ラテンアメリカ学会が6月3日・4日(明治大学駿河台キャンパス)。

同じ6月3日には、東京外大で市民講座、星泉さんによる「犬から目線で楽しむチベット文学」がある。

6月9日・10日・11日は調布のせんがわ劇場で「死者たちの夏2023」。

そしてその次の週末の土曜日6月17日は再び東京外大で市民講座、「イスラームのいま」。なおかつ、この土日は西洋中世学会が明治大学駿河台キャンパスで。

『緑の家』論を書きたいものだ、いつか必ず!


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