2020年8月29日土曜日

キューバ映画『マルアラ Maluala』

『マルアラ Maluala』は1979年のキューバ映画。

監督はセルヒオ・ヒラル(Sergio Giral 1937-)。

キューバ生まれでアメリカで教育を受けた後、ネストル・アルメンドロスに誘われて映画の世界に入ったらしい。

奴隷制度をテーマにした3部作があって『マルアラ Maluala』はその最後の作品。残りの二つは、『El otro Francisco』と『Rancheador』。

『マルアラ』は、欧米の大学では頻繁に上映されている。アフリカ、ブラックカルチャーの特集で取り上げられていることが多い。キューバ発のアフロ映画として知られているということだ。監督自身もアフロ系である。

時代設定は18世紀から19世紀のキューバの植民地時代で、逃亡奴隷(シマロン Cimarrón)の集落(パレンケ)がいくつも、キューバ島東部の山の中に存在している。

パレンケにはカリスマ的なリーダーがいて、映画のタイトルである「マルアラ」のリーダーはガジョ、そしてもう一つのブンバのリーダーがコバである。

スペイン政府・総督府はパレンケ側からの要求である自由と土地のうち、表向きは「自由」を与え、その代わり、統治機構の軍隊の一翼を担わせようとする。

いくつかのパレンケのリーダーはオファーをのんでしまうのだが、ガジョとコバは拒む。そのあとは総督府から送られた軍隊との武力衝突となる。

コバはその戦いのうちに自害するが、ガジョのマルアラの人々はスペインの軍隊を撃退する。最後、ほうほうの体で逃げ帰ったクリオーリョ司令官は、おりしも街で行われている黒人たちのカーニバルの仮装行列に巻き込まれ、恐怖の表情を浮かべる。

コンラッドの『闇の奥』のクルツが叫ぶ「恐怖!」を思わせもするシーンだ。映画の中ではアフロ系の儀礼シーンをかなり丁寧に描いている。

この映画は1979年が第1回のハバナ映画祭での金賞?一等章?受賞作。
ヒラル監督の出発点はドキュメンタリーで、『逃亡奴隷』(1967)と題されたフィルムもある。

この記事
はヒラル監督について、ルベン・リカルド・インファンテ(Rubén Ricardo Infante)というキューバの研究者が書いたもの。2020年のLASA学会でも発表しているらしいのだが、そういえば、5月のこの学会(開催地グアダラハラ)はどのような形式で開催したのだろうか。当然オンラインでしょうが。

 



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