2020年8月28日金曜日

東ドイツのキューバ映画とムヒカ

東ドイツの映画監督クルト・メーツィッヒ(Kurt Maetzig 1911-2012)は、1963年(1964という記録もある)、『Preludio 11』を監督した。

東ドイツの映画制作機関「DEFA」とキューバの映画製作機関「ICAIC」の合作映画である。

亡命キューバ人数名がキューバに侵入し、後から上陸予定の米軍と革命体制を打倒しようとするが、キューバの農民や軍人たちに阻まれてしまう、その過程を追ったものである。どことなくヒロン海岸侵攻事件を思わせるような設定。

亡命キューバ人の側にミゲルという青年がいて、彼は恋人ダニエラを捨てて米国に逃げた。ふたりの間には小さい子供がいる。ダニエラは母と一緒に子供を育てている。母の方はミゲルとやり直して欲しいと思っているようだが、ダニエラは、もう過去のことだと吹っ切っている。そのミゲルは上陸後、ダニエラに接近する。

ダニエラは革命軍所属で、目をかけてくれる上官とともに、革命を歩み始めている。彼女は識字運動のメンバーでもあって、毎日街のどこかで子供や大人に教室を開いている。

教わった文章を、子供達は嬉しそうにチョークで道に落書きしている。Pedro defiende la patria. (ペドロは祖国を防衛する)。

キューバの革命軍にはスパイが潜入しており、彼が反革命軍に情報を流している。その潜入したスパイ、最後は自殺する(ようだ)。ダニエラは、戦闘で負傷したか死んだミゲルには目を向けずにキューバの山を眺める。

カストロに似ているスパイを含め、ドイツ人の役者が何人かのキューバ人を演じているのだが、見ているときにはまったくわからなかった。

東ドイツとキューバの合作ものはどれくらいあるのだろうか。

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この春公開が予定されていたが延期になって、ようやくみることができたのが、『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』である。さいわい映画館でみたが、デジタル配信も期間限定でやっているようだ。監督はエミール・クストリッツァ。

原題は、「El Pepe, una vida suprema」。

ムヒカの大統領最後の日々を追いかけたもので、監督自身が英語でインタビューして、それにムヒカが答えていく。いきなり監督のむさ苦しい顔が登場するドキュメンタリーというのも面白い。ムヒカだけではなくて、(ポーランド系の)お連れ合いであるルシアやゲリラ時代の同志にも結構語らせている。

BGMとしても、フィルムの中でも、いろんな音楽が流れていて、タンゴやサンバ(?)にフォルクローレ。例えば、ウルグアイのちょっと変わった英雄ドン・ホセ・アルティーガスを歌った「A Don José」とか。

ムヒカの退任の挨拶、「俺は行かないよ、まだこれからだ "No me voy, estoy llegando. "」というのはなかなかかっこ良すぎる。

下の写真は2011年3月12日のモンテビデオ・独立記念広場。

1枚目はホセ・アルティーガス像。2枚目は見た瞬間にハバナのホテル「ハバナ・リブレ」に似ていると思って撮ったもの。


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