2016年12月26日月曜日

キューバ映画(13)『革命の物語』(Historias de la Revolución)

1960年のキューバ映画『革命の物語』を見た。

こちらの文章を参考に、幾つか情報を整理しておく。

公開は同じ年の12月30日。

ICAIC(キューバ映画公社)が最初に製作した映画ということになっているが、実際にはこの映画よりも前に完成していた映画がすでにあったらしい。

内容的に革命を扱ったこちらを先に公開するのが適切とみなされ、結果としてこれがICAIC「最初の」映画になった。

監督はトマス・グティエレス=アレア。1928年生まれの彼が最初に撮った長篇映画でもある。

映画は3部構成で、1957年のハバナを舞台とする「負傷者」、1958年ごろのシエラ・マエストラで展開する「反逆者たち」、そして最後は1958年12月の「サンタ・クラーラの戦闘」。最後のパートで革命が成就する。

こういう構成はロッセーリーニ『戦火のかなた』を参考にしたものだ。

構想ではもう2つのエピソードが加わるはずだった。その部分の監督としてはあの有名なホセ・ミゲル・ガルシア・アスコー(José Miguel García Ascot)が予定されていたが、結局別の映画を撮ることになる(『Cuba 58』というもので、これについてはまた改めて紹介する)。

「負傷者」はのちの『低開発の記憶』と似て、富裕層の青年が革命運動に距離をとることによってもたらされる悲劇。「反逆者たち」と「サンタ・クラーラの戦闘」はそれぞれ山中と都市での反乱軍とバティスタ軍の戦いで、一見戦争映画といった趣き。

映画は最後、革命に勝利したものの、反乱軍にいた夫が戦死したことを知った妻の表情を映して終わる。

涙を流してうつむいていた妻テレサは、涙を拭いて正面を見据える。つまり、犠牲はあったが革命による美しい未来を信じる肯定的人間を描いて終わるわけだ。

音楽が素晴らしい。カルロス・ファリーニャス(Carlos Fariñas)、 アロルド・グラマヘス(Harold Gramatges)、レオ・ブローウェル(Leo Brower)。

0 件のコメント:

コメントを投稿