柴崎友香は『帰れない探偵』(講談社)の刊行記念選書として「場所の記憶を探偵する」というテーマで12人の作家を選んでいる。ポール・オースターのニューヨーク三部作『ガラスの街』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』(いずれも柴田元幸訳、新潮文庫)、W・G・ゼーバルト『移民たち』『アウステルリッツ』(いずれも鈴木仁子訳、白水社)、パク・ソルメ『影犬は約束の時間を破らない』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、夏目漱石『彼岸過迄』(新潮社)、ジーナ・アポストル『反乱者』(藤井光訳、白水社)、テジュ・コール『オープン・シティ』(小磯洋光訳、新潮クレスト・ブックス)、東辻賢治郎『地図とその分身たち』(講談社)、レベッカ・ソルニット『迷うことについて』(東辻賢治郎訳、左右社)、奥泉光『「吾輩は猫である」殺人事件』(河出文庫)、フアン・ガブリエル・バスケス『歌、燃えあがる炎のために』(久野量一訳、水声社)、呉明益『自転車泥棒』(天野健太郎訳、文春文庫)、イーフー・トゥアン『空間の経験』(山本浩訳、ちくま学芸文庫)。選書一覧のリーフレットには、12人の作家・作品について一人ひとり丁寧に紹介文が載っていて、バスケスの部分を一部だけ引用すると、「コロンビアの作家で、私と同じ一九七三年生まれです。(中略)この数年、小説は語り直すものであることに意味がある、ある人の話をほかの誰かが語る伝聞が小説ではないかと考えています」と言っている。
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