2020年11月1日日曜日

11月の本探し(アレクシスとカルペンティエル)

去年の秋に取ったメモを読み返していて、その時に読んでいた本を探そうとしたらなかなか見つからず、けっこう焦ってしまった。本の大きさや書影を思い違いしていて、余計に時間がかかった。こういうときのために、ブログに書いておくとあとあと自分が助かる。

1956年パリで開かれた第1回黒人作家芸術家会議でハイチのジャック・ステファン・アレクシス (Jacques Stephen Alexis, 1922-1961)は、「ハイチの驚異的リアリズム(Du réalisme merveilleux des Haïtiens)」と題した講演を行った。

『プレザンス・アフリケーヌ』誌(8-10、1956年6月-11月)に掲載されている。

 

 

なんだか、アレホ・カルペンティエル(Alejo Carpentier, 1904-1980)の「驚異的な現実 lo real maravilloso」と関わっていそうな感じがする。

カルペンティエルがこの用語を使ったのは、1949年に発表した『この世の王国』の序文である。

アレクシスの講演にはカルペンティエルへの言及はない。

で、この両者を比較分析したのが、アルゼンチンのカリブ文学研究者グアダルーペ・シルバ(Guadalupe Silva)の論考である。

題して、「驚異的な現実をめぐるカリブ言説ーージャック・ステファン・アレクシスとアレホ・カルペンティエル(El discurso caribeño de lo real maravilloso: Jaques Stephen Alexis y Alejo Carpentier)」。

なかなか見つからなかったこの文章、以下の本にある。

Guadalupe Silva y María Fernanda Pampín(Compiladoras), Literaturas caribeñas: Debates, reescrituras, tradiciones, Editorial de la Facultad de Filosofía y Letras, Universidad de Buenos Aires, 2015

 


この論文を紹介する余裕は今はないのだが、一応おさえておくこととして、カルペンティエルは『この世の王国』を書くにあたって、「ハイチ民族学研究所(el Instituto de Etnología Haitiana)」とコンタクトを取っている。

この研究機関は1941年設立。創立者はジャン・プリス(プライス)・マルス(Jean Price-Mars, 1876-1969)、ジャック・ルーマン(Jacques Roumain, 1907-1944)、そしてピエール・マビーユ(Pierre Mabille, 1904-1952)である。

アレクシスの講演はスペイン語に翻訳されていて、こちらはネットで見つかる。

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