2020年11月19日木曜日

アンゴラ作家ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『忘却についての一般論』

アンゴラのポルトガル語作家ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザの本が日本語になった。

ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『忘却についての一般論』(木下眞穂訳)、白水社、2020年)


実はこの本のことは知っていて、翻訳が出るとは思っていなかったので、スペイン語版を入手していた。2015年にアルゼンチンで出て、2017年にスペインでも。

José Eduardo Agualusa, Teoría general del olvido(Traducción de Claudia Solans), Edhasa, Barcelona, 2017. 


この本の存在を知ったのは、キューバのアンゴラ派兵のことを調べている時に読んだ論文がきっかけで、未読のままアンゴラ関係の本と一緒にしまわれていた。

その論文ではこの本の一節をエピグラフに置いていたので目を引いた。以下のような一節だ。

「あんたやあんたのお仲間は『社会主義』だの『自由』だの『革命』だのごたいそうなことを言って口が満たされるんだろうさ。だけど、その傍らで人が痩せ衰え、病気になり、大勢が死んでいる。演説は栄養にはならないよ。(中略)あたしに言わせればね、革命ってのは、まず国民を食卓に座らせることを先にしようって、そういうものでなくちゃね」(『忘却についての一般論』103ページ)

作者は1960年生まれ。アンゴラに生まれ、ポルトガルやブラジルにも住んだことがある。

キューバのアンゴラ派兵は1975年11月。ポルトガルのカーネーション革命が1974-1975でポルトガルの独裁が終了でアンゴラ独立なのだが、直ちに内戦突入。スペインではフランコがこの年に死んで、西サハラの独立が1976年。

イベリア半島の独裁終了がアフリカの内戦につながり、それが冷戦の代理戦争のように見えながら、キューバの場合には血の同盟としての派兵が行われ(カストロの演説「キューバはラテンアフリカである」)、そう、それは「カルロータ作戦」という、キューバで19世紀に蜂起した女性奴隷の名前から取られた作戦名だった。

その後キューバでは例えば、エリセオ・アルベルト(1951-2011)の『カラコル・ビーチ Caracol Beach』(1998)がアンゴラ帰還兵の物語。さらにはカルラ・スアレス(1969-)の『英雄の息子 El hijo del héroe』(2017)となる。

いや、エリセオ・アルベルトやカルラ・スアレスの前に、アンヘル・サンティエステーバン(1966-)の『真夏の日の夢 Sueño de un día de verano』が1995年に出ている。

『忘却についての一般論』はポルトガル語では"Teoria Geral do Esquecimento"。

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ついこの前は、都内のとある中高一貫校で模擬授業をやってきた。いろんな大学から様々な専門分野の先生がやってくるという催しで、オンラインの先生もいたようだが、半数くらいは対面授業でやったようだ。高校では教壇にアクリル板は置いてあって、マスク必須だったけれども、いつものように授業が行われている。こちらは久しぶりの対面型の講義で、目の前に顔があることはありがたいと思った。

秋が深まったと思ったら、ここ数日はやたらに温度が高い。写真は11月なかば。

 


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