2016年10月28日金曜日

キューバ文学(35)フェルナンデス・レタマール再び

大学院でフェルナンデス・レタマールを読んでいる。

Fernández Retamar, Roberto, Todo Calibán, Ediciones Callejón, San Juan, 2003.

序文はフレドリック・ジェイムソン。英語翻訳版に付けたものがスペイン語に訳されている。

1992年、NYUで開かれたラウンドテーブル「他者との出会い」にはフェルナンデス・レタマールの他に、カマウ・ブラスウェイトとセルジュ・グリュジンスキがいた。

フェルナンデス・レタマールの発表タイトルは「500年後のキャリバン(Calibán quinientos años más tarde)」。

今から四半世紀も前の文章ということになる。

冒頭、「キャリバンについてではなく、キャリバンの立場から話す」と宣言する。

1492年から500年前のヨーロッパは小さかった。その頃、レイフ・エリクソンがアメリカ大陸に来たが、世界は変わらなかった。 しかし1492年に上陸したのはコロンブスだけでなく、ヨーロッパに芽生えかけていた資本主義だった。

そして、資本主義国家として成功を収めたのがどこかという話へ。

ポルトガルやスペインは最初にアメリカに上陸したし、後発のオランダやイギリス、フランス、ドイツの資本主義発展に寄与したが、資本主義巨大国家になったのは、イギリスが植民化した国、つまり米国、カナダ、オーストラリア。

フェルナンデス・レタマールは成功国家としての日本に例外的な注意を払っている。つまり、ヨーロッパ人が住んだことのない国では唯一であるというのだ。日本に関する叙述が長い。

参照文献も日本の成功を論じたものをいくつか挙げ、「日本の進展についてどう考えているのか、日本人の意見を聞きたいものだ」と言っている。

[この項、続く]

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