キューバを舞台にした映画『Una noche(或る夜に)』(2012年)。
女性監督Lucy Mulloyのデビュー作。スパイク・リーのもとで学び、この映画も彼の資金援助を受けた。
この映画で数多くの賞を受賞。
ハバナの若者3人(双子の兄妹エリオとリラ、そしてエリオの友達ラウル)の物語。
ラウルが犯罪を犯し、逃亡の果てに亡命を決意する。親友エリオも手伝うが、双子の妹リラが気づき、彼女もついてくる。
3人は棒切れでいかだを作ってタイヤを二つくくりつけ、夜、海に出る。一応エンジンも持っていくが、海上で役に立たないことがわかる。メキシコ湾にはサメがうようよ泳いでいる。
ロケはハバナで行なわれ、制作国としてキューバ、イギリス、アメリカ合衆国があがっている。去年見た『ザ・キング・オブ・ハバナ』はキューバでの撮影ができず、ドミニカ共和国にしたということだった。
そういえば、ロバート・レッドフォード主演、シドニー・ポラック監督の『ハバナ』(1990)もドミニカ共和国撮影だという。この映画は、政治に無関心なアメリカ人ギャンブラーが、革命に身を投じる女性との恋に落ちるという内容だった。
大多数の人々が政治に無縁で生きられる大国と、そうはいかない小国(フレドリック・ジェイムソン)。映画ではアメリカ人がギャンブラーで、キューバ人は医師。
それはともかく、『或る夜に』も内容としては、ディストピアとしてのキューバなので、『ザ・キング……』と重なるのだが……
出ているのはプロの役者ではないかもしれないと思ったが、この映画には後日談があって、主役を演じた二人はNYのトライベッカ映画祭に出席するためアメリカへ渡り、その後政治亡命を申請したようだ。
ウェブにある批評は例えばこれ。
ウェブ新聞『Diario de Cuba』ではこれ。書いているのは、オルランド・ルイス・パルド・ラソ(Orlando Luis Pardo Lazo、1971〜)。
[この項、続く]
0 件のコメント:
コメントを投稿