2016年3月25日金曜日

カリブ研究会(3)フランス語圏カリブ(Caribe francófono)

キューバへ行ってきた。

前回はいつかといえば、2009年の8月から9月にかけて、つまり6年半前のことだ。

あのときは、ビルヒリオ・ピニェーラとかかわりのあるところを、生まれた町のカルデナス(マタンサス州)からハバナのいくつかの住所、そして彼の葬儀が行なわれたところまですべて回った。葬儀場ではコーヒーも飲んだ。

そのほか、サン・アントニオ・デ・ロス・バーニョスにあるハバナ映画・テレビ学院にも行った。新ラテンアメリカ映画祭の本部にも行った。

そして今回。

出発前のカリブ研究会で大辻都さんがとりあげたシモーヌ・シュヴァルツ=バルト(グアドループ)の小説のスペイン語版があったので迷わず買った。

Schwarz-Bart, Simone, Lluvia y viento sobre Telumea Milagro, Fondo Editorial Casa de las Américas, La Habana, 2014.
※翻訳者はMirta Fernández Martínez、序文はRoberto Zurbano Torres。

そして同じくグアドループ出身のマリーズ・コンデについて特集された雑誌を買った。

2010年11月16日から19日までのあいだ、文化機関「カサ・デ・ラス・アメリカス」はマリーズ・コンデを招き、「マリーズ・コンデ週間」としてイベントを行なった。雑誌にはそのときの記録が載っている。

マリーズ・コンデの小説も邦訳のある『わたしはティチューバ――セイラムの黒人魔女』のスペイン語版がシモーヌと同じ出版社から出ていたが(2010年)、こちらのほうは手に入らなかった。ただ1999年に別の出版社からスペイン語版は出ている。

「カサ・デ・ラス・アメリカス」には研究部門に「カリブ研究センター」がある。そこが中心となって英語圏、フランス語圏カリブ文学・文化研究を進めている。そして「トロピック」誌おけるシュザンヌ・セゼールの役割についての研究経過報告を聞くこともできた。

グアドループの作家エルネスト・ペパン(1950〜)の作品『マリア・ソレダーへの鎮魂歌』のスペイン語版もあった。ペパンは91年にカサ・デ・ラス・アメリカス賞を受賞していてキューバとの関係は深い。

Pépin Ernest, Réquiem por María Soledad, Editorial Arte y Literatura, Instituto Cubano del Libro, La Habana, 2011.
※翻訳者はフランス語はLourdes Arencibia、クレオール語はAnna Kovac。

原典はどれか探しているが、この記事によるとフランス語版よりもこのスペイン語版が先に出ているとのことである。ハイチを舞台にした小説。

そのハイチの小説家Évelyne Trouille(エヴェリン・トルイヨ、1954〜)のスペイン語版もあった。カリブ海カルベ賞受賞作。

Trouille, Évelyne, La memoria acorralada, Fondo Editorial Casa de las Américas, La Habana, 2011.
※翻訳者はLourdes Arencibia。

この作家はリオネル・トルイヨの姉である。リオネルの作品で日本語で読めるのは「島の狂人の書」(『月光浴――ハイチ短篇集』国書刊行会) がある。

それからファノンについての本がちょうど出たところだった。

Leer a Fanon, medio siglo después, Ensayo introductorio, cronología y selección de Felix Valdés García, Rosa Luxemburg Stiftung, México, D.F., 2016.

(この項、続く)

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