2016年3月11日金曜日

カリブ研究会(2)

前のエントリー(カリブ研究会)の続き

エドゥアール・グリッサンは1970年代に『アコマ』という雑誌を出していた。

その雑誌について、中村隆之さんが研究をなさっていて、すでに一度発表を聞いたのだが、その続きを聞いた。どちらの発表も近いうちに論文として公刊されるはずだ。

そういえば、エメ・セゼールと『トロピック』についてはスペイン語でこんな論文がある。 この論文の著者フロレンシア・ボンフィグリオ(Florencia Bonfiglio)は、カマウ・ブラスウェイトのスペイン語翻訳を出している。翻訳は翻訳だが、解説やインタビューも入っている。

Brathwaite, Kamau, La unidad submarina: Ensayos caribeños(Selección, estudio preliminar y entrevista de Florencia Bonfiglio), Ediciones Katatay, Buenos Aires, 2010.

タイトルは「海の底での統一(La unidad submarina)」である。これはカリブ研究においてはキーワードのはずだ。

以下は再び研究会メモーー

環カリブ圏における島と島のあいだの移動

プエルト・リコとドミニカ共和国のあいだの移動も激しい。プエルト・リコの労働の多くをドミニカ共和国から渡ってきた人がこなしている。それを書いたのがプエルト・リコの女性作家ジョランダ・アロージョ(Yolanda Arroyo) 。

Arroyo Pizarro, Yolanda, Los documentados, Publicaciones Boreales, Carolina, Puerto Rico, 2010.

さて、研究会ではジャメイカ・キンケイド(アンティグア出身)が論じられた。

ジャメイカ・キンケイドについて書かれたスペイン語の論文はカリブ・中米の文学研究書のなかにおさまっている。

論文タイトルと著者は以下のとおり。

María Alejandra Olivares, Jamaica Kincaid y la literatura caribeña anglófona actual: El microrrelato como crítica

タイトルを日本語にしておく。

「ジャメイカ・キンケイドと英語圏カリブ文学の現況ーー批評としての超短篇」

「超短篇」としたのは、英語圏のSudden Storyが日本ではそう訳されているから。

そしてその論文が入っている研究書は以下のとおり。

Salto, Graciela(Edición, compilación y prólogo), Memorias del silencio: literaturas en el Caribe y en Centroamérica, Corregidor, Buenos Aires, 2010.

しかもこの研究書のなかには、グリッサンとブラスウェイトの対談もスペイン語に翻訳されている。記憶ではキンケイドの作品もこの出版社の本のどこかに入っていたような気がするのだが……

と思って本をよく見直したら、やっぱり入っていた。付録として、「Girl」と「Girlfriend」がスペイン語になっている。文献リストをみると、キンケイドのスペイン語版は本として出たことがない。そこで論文の書き手はあえて翻訳したとのこと。

[この項、続く]

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