2018年3月27日火曜日

2018年3月24日土曜日

『ココ(Coco)』

日本では『リメンバー・ミー』というタイトルで公開されている映画。

舞台はメキシコで、テーマは死者の日だからメキシコ映画といってもいい。

英語版でも会話のあちこちにスペイン語が入り混じるので、スペイン語がわかったほうが楽しい。

それにメキシコ人俳優・歌手のホルヘ・ネグレテとペドロ・インファンテへの言及もあった。

見ている感じとしては、アメリカの多分カリフォルニアのメキシコ系大家族に生まれた男の子(ミゲル)、つまりアメリカ育ちの男の子に対して、一族のメキシコ性を意識させている物語のようだった。

ミゲルの振る舞いの北米性がやたらに強調されている。

設定は現世と死者の国の往還の物語なのだが、主題歌の「リメンバー・ミー(Recuérdame)」には、"移住する(emigrar)"という言葉が使われている。

メキシコを離れてアメリカに行ってしまった自分のことを忘れないで(リメンバー・ミー)、というメッセージが込められているわけだ。

ガエル・ガルシア・ベルナルが声を演じているHéctorという重要な男の名前。字幕ではヘクターと表記されていたが、エクトルと発音されていたような気がする。

『シェイプ・オブ・ウォーター(La forma del agua)』、『ナチュラル・ウーマン(Una mujer fantástica)』、そして『リメンバー・ミー(Coco)』と、この春は「ラテンアメリカ映画」がたくさん届いている。

2018年3月11日日曜日

近況

昨年12月16日、下北沢のB&Bでボラーニョ・コレクション完結記念トークがあった。こちら。B&Bはこのイベントのすぐ後に新しい場所に移転しているはずだ。

その時の内容が『図書新聞』3340号(2018年2月24日)に掲載された。

独立映画鍋のイベントにも出かけ、ラテンアメリカの映画人の試みについて話を聞いてきた。

その後、まさしくハリウッドでメキシコ人が撮った『シェイプ・オブ・ウォーター』の公開が始まり、実にタイムリーだった。

そういえば、近頃見た映画では、どれも肝心要のベストシーンが女性(弱者)から男性や男性中心社会に向けられる、真っ当な抵抗・憤激・反論になっている。

マリーナ・ビダルが車の上に乗ったり、パンチングボールを殴ったりするところ。

ミルドレッド・ヘイズが警察署に火炎瓶を投げ込むところ。

そしてイライザ・エスポジート(スペイン語ならエリサ・エクスポシトElisa Expósito)がストリックランドに、****と言うところ。そしてそれをゼルダが「ありがとう」って言ってると解説するところ。

『シェイプ・オブ・ウォーター』はラテンアメリカものの映画としてとても素晴らしい。私が見るところ、この作品の先駆には、ガルシア=マルケスの「大きな翼を持った老人」や「美しい水死人」がある。

特に前者の短編はアルゼンチンのフェルナンド・ビリによって映画化されている。キューバ映画である。

フェルナンド・ビリは昨年12月に亡くなったが、この映画を見たらなんと言ったのだろう。

ギレルモ・デル・トロがギジェルモ・デル・トロと呼ばれるときは来るのだろうか。

2018年3月1日木曜日

ラテンアメリカの情動論

Mabel Moraña, Ignacio M. Sánchez Prado(eds.), El lenguaje de las emociones: Afecto y cultura en América Latina, Iberoamericana, 2012, Madrid.


もう5年以上も前に出ていた論集。

目次を書き写したいが分量が多いので難しい。

編者のイグナシオ・M・サンチェス氏が序文を書き、その後にメキシコのロヘル・バルトラRoger Bartraの基調論文が続く。題して"La batalla de las ideas y las emociones"。
人類学者(だったかと思う)バルトラさんは多作だが日本語では見かけない。

そのあとは4部構成。

I. Afectividad, globalidad y política
II. Género, afecto y ficción
III. Expresión musical y emocionalidad
IV. Textualidad, afecto y esfera pública

これは是非大学院あたりで読もう。

2018年2月24日土曜日

ボゴタ39、再び

随分前に書いたと思うが、ボゴタ39が新しくなった。

2007年に40歳以下の作家たちを39人が「ボゴタ39」として選ばれた。それから10年たって、新しい39人が選ばれた。

本はこちら。


名前を挙げておこう。
カルロス・マヌエル・アルバレス
フランク・バエス
ナタリア・ボルヘス・ポレッソ
ジュゼッペ・カプート(Giuseppe Caputo)
フアン・カルデナス
マウロ・ハビエル・カルデナス
マリア・ホセ・カロ
マルティン・フェリペ・カスタニェ
リリアナ・コランシ
フアン・エステバン・コンスタイン
ロリータ・コパブランカ
ゴンサロ・エルテス(Gonzalo Eltesch)
ディエゴ・エルラン
ダニエル・フェレイラ
カルロス・マヌエル・フォンセカ
ダミアン・ゴンサレス・ベルトリーノ
セルヒオ・グティエレス・ネグロン
ガブリエラ・ハウレギ
ライア・フフレサ(Laia Jufresa)
マウロ・リベルテーラ
ブレンダ・ロサノ
バレリア・ルイセージ(バレリア・ルイセリ)
アラン・ミルス
エミリアノ・モンへ
モニカ・オヘーダ
エドゥアルド・プラサ
エドゥアルド・ラバサ
フェリペ・レストレポ・ポンボ
フアン・マヌエル・ロブレス
クリスティアン・ロメロ
フアン・パブロ・ロンコネ
ダニエル・サルダーニャ・パリス
サマンタ・シュウェブリン
ヘスス・ミゲル・ソト
ルシアナ・ソウサ
マリアナ・トーレス
バレンティン・トルヒーヨ
クラウディア・ウジョア・ドノソ
ディエゴ・スニガ

2018年1月14日日曜日

キューバ・モダニズム建築

キューバの建築を追いかけている。

Michael Connors, Havana Modern: 20th-Century Architecture and Interiors, Foreword by Ricardo Porro, Principle photography by Néstor Martí, Rizzoli, New York, 2014.


前に紹介した「立憲モダニズム」期の建築物を探しているとよく出てくるのが、会計検査院(現内務省)、キャバレー・トロピカーナ、ハバナ・ヨットクラブ、FOCSA(フォクサ、Fomento de Obras y Construcciones, S.A.)、映画館ヤラ(Cine Yara)である。

竣工は、会計検査院が1953年、FOCSAが1956年、ヨットクラブは1953年、トロピカーナの楕円の演奏壇は1951年、映画館ヤラは1947年。

主な建築家としてはアキレス・カパブランカ(Aquiles Capablanca)、マックス・ボルヘス・イ・レシオ(Max Borges y Recio)、グスタボ・モレーノ(Gustavo Moreno)、アントニオ・キンタナ(Antonio Quintana)。

マレコン通りのホテル・リビエラは1957年竣工。これはサンクトペテルブルク出身のアメリカの建築家Igor Polevitzkyによるもの。オーナーはマイヤー・ランスキーだった。ロシア出身アメリカのマフィアである。

(この項、続く)

2018年1月7日日曜日

キューバ、デシデリオ・ナバーロ(1948-2017)

キューバの批評家、翻訳家デシデリオ・ナバーロ(Desiderio Navarro)が2017年になくなった。ロシアの文化理論、芸術批評の紹介につとめた人である。

1972年に雑誌『Criterios』を創刊し、編集長を82年から務めている。

2012年に創刊40年イベントがあり、様々な経緯をアントニオ・ホセ・ポンテがここに書いている。

その彼の仕事をまとめたのが以下の『ロシア文化思想アンソロジー』の2巻本である。

El pensamiento cultural ruso en Criterios 1-2, Selección y traducción del ruso Desiderio Navarro, Centro Teórico-Cultural Criterios, La Habana, 2009.





目次から一部名前を拾ってみる。日本語表記がわからない人も多数。

ボリス・グロイス
ユーリ・ロトマン
ミハイル・バフチン
アナトリー・ルナチャルスキー
Viacheslav V. Ivanov
Mijaíl Iampolski
Aleksandr M. Piatigorski
Arón I. Gurévic
Eleazar M. Meletinski
Vladímir N. Toporov
Borís A. Uspenski
Pável Medvédev
Serguei S. Avérintsev
Dimitri S. Lijachov
Borís Bernstein
Moisei S. Kagan
Nikolai I. Konrad
などなど。

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昨日はこの催しに関わっていた。

前半の座談会ではラテンアメリカ学会の創設にまつわる様々な話を聞いた。内容は次の学会年報にまとめて掲載される予定である。

後半の研究報告では浦部浩之さん(獨協大学)のハイチ、ドミニカ共和国間の摩擦に関する報告が特に興味深いものだった。