2026年1月8日木曜日

1月8日

ベネズエラ作家ではフリオ・ガルメンディアの「リンゴちゃん」という短篇が面白い。果物屋に並ぶ現地産のリンゴちゃんは元々売れ筋だったけれど、「北」から色合いの美しい匂い立つリンゴが届いてしまって、もう売れない。「もう私のことなんて誰も食べてくれないかも」。

絶望したリンゴちゃんは友だちに相談する。ヤシの実さん、バナナさん、アボカドさん、グアナバナさん(日本語だとトゲバンレイシ)、オレンジさん、トマトさん、パパイヤさん、パイナップルさん、ザクロさん、マンゴーさん・・・【この短編は果物の種類を学ぶのに優れている】

同情してくれる果物もあれば、突き放す果物もある。リンゴだけじゃなく、ヤシの実だってバナナだって「北」からその種類が届けば同じことになると不安を口にする者もいる。

リンゴちゃんは眠れなくなってしまった。かわいそうに翌朝、彼女は悲しみで死んでしまったのだった。友人の果物たちは彼女を埋葬する。

土の中で蛆虫さんに話しかけられるリンゴちゃん。「なんで死んじゃったの?」。リンゴちゃんは答える。「悲しくて。だって北からあの美味しいりんごが着いたので誰も私のこと好きになってくれないから。子供も小鳥も誰ももう私のことを好いてくれない。だったらなんで生きていられるの?」

でも蛆虫さんはリンゴちゃんにあるニュースを伝える。あの美味しそうなリンゴは暑さに負けて、すぐに腐っちゃうよ。それを聞いたリンゴちゃんは確かめに土から這い出て、頑張って果物屋さんに戻る。すると果物屋の主人はたった一日で傷んでしまったリンゴを見て驚いている。「たった一日で!」

それを見たリンゴちゃんは嬉しさのあまり笑って踊る。店の主人は北のリンゴを冷蔵庫に入れる。冷蔵庫にはブドウさんと梨さんもいる。リンゴちゃんは周りのみんなに戻ってきたことを伝え、友達と跳ね回る。北からのリンゴも許してあげる。だって同じ太陽と大地から生まれた果物なんだから。

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