2023年2月23日木曜日

2月23日 La casa verdeの難所(4)

1部3章Cは出だしから当惑させられるのだが、何行か読んでいくと場面がつかめる。ボルハの駐屯地での志願兵(大尉が言及していた)の訓練をささっと描写しているのだ。志願兵がボルハに着いた直後のことで、それが終わって以下の場面になる。

Y una mañana viene el cabo Roberto Delgado, un paso adelante el recluta que era práctico y Adrián Nieves a sus órdenes, mi cabo, él era. ¿Conocía bien la región, río arriba? y él como esta mano, mi cabo, río arriba y también río abajo y entonces que se preparara que se iban a Bagua. Y él llegó el momento Adrián Nieves, ahora o nunca. Parten a la mañana siguiente, ellos, la lanchita, y un sirviente aguaruna de la guarnición. (p.99)

「するとある朝、ロベルト・デルガード伍長がやってきて案内人の志願兵は一歩前へ、するとアドリアン・ニエベスが、お申し付けください伍長、自分です。その地域、上流をよく知っているか?すると彼は、お安い御用です伍長、上流と下流も、するとバグアに行くから用意しろ。すると彼は、好機だアドリアン・ニエベス、いま行かなければ二度とない。彼ら、小型船、駐屯地のアグアルナ族の使用人は翌朝出発する。」


こうして出発した彼らの道中の描写には別の話が入り込んでくる。

El cabo Roberto Delgado viaja contento, habla y habla, llegó un teniente costeño que quiso conocer el pongo, ellos es peligroso, mi teniente, ha llovido mucho, pero él quiso, y fue y la lancha se volcó y se ahogaron todos y el cabo Delgado se salvó porque se inventó una terciana para no ir, habla y habla. El sirviente no abría la boca, mi cabo, ¿el capitán Quiroga era selvático?, Adrián Nieves era el que le conversaba. (下線引用者、p.99)

ロベルト・デルガード伍長は旅行を楽しみ、話が止まらず(habla y habla)、その話の一つが沿岸地方出身の中尉(teniente)のことだ。そこは点過去形(llegó)が使われている。habla y hablaの後のllegóのところが最初はどうしてもわからなかった。一旦わかってしまうと楽だ。

pongo[ポンゴ]は「川の狭くなった危険なところ」を意味する単語で、語源はケチュア語である。フランス語ではcluse(横谷)。「横谷」があるということは、「縦谷」もあるということで、これは「横谷」だろう。

結局3人(デルガード伍長、案内人、使用人)は2日かかってウラクーサに到着。

1部3章Cのことはここまでにしておいて、続く1部4章は、1部3章と同じ配列。

A 伝道所

B フシーア

D アンセルモ

C デルガード伍長ら(ウラクーサ)

E リトゥーマ


Cパートは伍長、ニエベス、使用人がウラクーサに泊まった翌朝のことだ。ここははっきりと前章の続きとわかる。

Y a la madrugada se levantan para seguir viaje, bajan el barranco y la lanchita no está. Comienzan a buscarla, Adrián Nieves de un lado, del otro el cabo Roberto Delgado y el sirviente y, de repente, gritos, piedras, calatos y ahí está el cabo, rodeado de aguarunas, le llueven palos, también al sirviente y ahora lo han visto y los chunchos corren hacia él, miéchica, Adrián Nieves, te llegó tu hora, y se tira al agua: fría, rápida, oscura, no saques la cabeza, más para adentro, que lo agarre la corriente, ¿flechas?, se lo jale río abajo, ¿balas?, ¿piedras?, miéchica, los pulmones quieren aire, la cabeza anda mareada como un trompo, cuidado con el calambre. (p.129)

「すると明け方彼らは起床して旅を続けようと、崖をおりると小型船がない。探しはじめ、アドリアン・ニエベスはいっぽうへ、ロベルト・デルガード伍長はもういっぽうへ、そして使用人も、すると突然、怒鳴り声、石、裸の男たち、するとそこに伍長がいたので、アグアルナ族に囲まれ、棒で叩かれ、使用人も叩かれ、すると彼も見つかって、先住民たちは彼に向かって駆け出し、くそ、アドリアン・ニエベス、これで最期だ、そして水に飛び込む--冷たく、流れは早く、暗く、おまえ頭を出すんじゃない、もっと深く、流されろ、矢か?下流まで引っ張られろ、銃弾か?石か?くそ、肺が空気を欲しがっている、頭がコマのように回っている、痙攣に気をつけろ。」


ここにきてわかるのは、「くそ、アドリアン・ニエベス、これで最期だ」のところが、ニエベスが自身に向かって言っていることだ(te llegó tu hora)。そうすると、このエントリーの上の方で引用した、Y él llegó el momento Adrián Nieves, ahora o nunca.のところは、上では「すると彼は、好機だアドリアン・ニエベス、いま行かなければ二度とない」と訳したが、ここは伍長がニエベスに言っているとも、またニエベスが自身に言っているとも読めてくる。ニエベスが自身に言っているとすれば(そのように読んだ方がいいと思うが)、ニエベスは今の境遇から逃れたいと思っているともとれる。

こうしてCパートに絞って読んできて、文体的な特徴がかなりつかめた。




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