フリアン・デル・カサルの第一詩集『Hojas al viento(葉を風にのせて)』から。
"hojas"にはページ、紙の意味があるので、「詩を書き記した紙片を風にのせて」とも取れる。
その詩集の一番最初の詩は、「はじめに(Introducción)」というタイトル。
Arbol de mi pensamiento
lanza tus hojas al viento
del olvido,
que, al volver las primaveras,
harán en ti las quimeras
nuevo nido;
y saldrán de entre tus hojas,
en vez de amargas congojas,
las canciones
que en otro Mayo tuvistes,
para consuelo de tristes
corazones.
頭の中にはいろいろな思考があって、それはさながら一本の樹木である。それが1行目。
2行目のlanza(動詞lanzar)を、ここでは二人称の命令形(arbol=túへの命令)と理解すると、「わが思考からなる樹よ、おまえの葉を忘却の風にまかせよ」となる。注釈本でも、1行目の終わりにコンマが入っているべきとある(コンマがあれば命令形と取ることに迷いはなくなる)。
4行目、季節が巡って春が戻るころ、とある。つまり2行目の葉が風に飛んでいく季節は秋がイメージされているのだろう。
春が戻って、再びその樹木に葉が芽吹くとき、その葉はおまえという樹木の中に、空想という新しい巣を作るだろう。
※ここは文法的にちょっと無理をして解釈。harán(動詞hacerの三人称複数未来形)の主語をtus hojas、目的語をlas quimerasとすると、「葉は空想を作る」となって、その場所がen tiなので、「おまえという樹木の中に」。最後のnuevo nidoは、las quimerasと同格のように解釈して、「空想という新しい巣」。あるいは、5行目までで切って、「それが新しい巣なのだ」とまとめても良いかもしれない。
7-9行目。おまえの新しい葉から聞こえてくるのは、苦しみの嘆き声ではない。それは歌である。
10-12行目。その歌は先の5月(春)に、悲しみに暮れる心を慰めようとして、おまえが歌ったあの歌だ。
10行目のtuvistesは現在ならtuviste。古いスペイン語の用法。
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