ボラーニョが書いた書評やエッセイ、講演録その他は、これまで『Entre paréntesis』というタイトルの本にまとめられていた。
Roberto Bolaño, Entre paréntesis: Ensayos, artículos y discursos(1998-2003), Edición de Ignacio Echevarría, Anagrama, Barcelona, 2004.
序文は編者のイグナシオ・エチェバリーアが書いている。
366ページもあり、フォントも小さくてぎっしり詰まっている。
版元が変わり、新しくなったのが以下の本。
Roberto Bolaño, A la intemperie: Colaboraciones periodísticas: Discursos y conferencias: Lecturas y relecturas, Alfaguara, Barcelona, 2019.
新しいエディションの序文はホルヘ・ボルピである。
フォントは大きいが、付録に視覚資料も数ページあって、500ページ近い。この2冊には同じテキストが収められているのではないし、順序も違う。
つい読んでしまったのが、カタルーニャ語の『フェルディドゥルケ』が出版された時に書かれたボラーニョの歓喜の文章。
「フェルディドゥルキストたちよ、すべてに敗北したわけじゃない。数ヶ月前、ほとんど誰にも気づかれなかったのだが、明暗に満ちた今世紀においてもっとも輝かしい本の一冊が世に出たのだ。Quaderns Crema社の『フェルディドゥルケ』 、1937年に初版が出たウィトルド・ゴンブローヴィッチの最初の小説のことだ。ブエノスアイレスのカフェ・レックスの集いの中で行われたスペイン語への翻訳こそは、間違いなく過度と寛容というもののなんたるかを示す画期的な出来事であり、つまるところ、我が世紀における文学というものの悦びのなんたるかを示す画期的な出来事なのである。」
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東京国際映画祭でキューバ映画(実際にはキューバが制作の映画ではないが)を一本見た。
オリヴィエ・アサイヤス監督『WASP ネットワーク』2019年
WASPといっても「ホワイト・アングロサクソン…」ではなく、スズメバチの方。
何の予備知識もなく見ていたが、途中で「5 héroes cubanos(5人のキューバの英雄)」の話だと気付いた。
1990年代、アメリカに渡って反カストロ組織に潜入し、組織が企てるキューバ政権打倒テロ計画を防いだキューバ人の物語である。
監督は『パーソナル・ショッパー』を撮った人。
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