2017年12月20日水曜日

キューバ・立憲モダニズム

キューバのモダニズムを建築や都市計画から論じた本。

Hyde, Timothy, Constitutional Modernism: Architecture and civil society in Cuba, 1933-1959, University of Minnesota Press, Minneapolis, 2013.



著者は1933年から1959年までを立憲モダニズム(Constitutional Modernism)とする。

軍曹時代のバティスタが起こした軍事クーデターが1933年。そしてカストロの革命が1959年。

その間の1940年に制定された憲法がキューバ人にとって市民の目覚めとなるような内容だった。

そしてこの憲法に基づいたモダニズムを立憲モダニズムとして建築や都市計画が論じられる。

著者はキューバ・ハバナにある有名な3つの建築物をまず示す。

一つはハバナのカテドラルだ。18世紀に建設されたバロック様式の教会。これはスペイン統治時代を象徴する。

次いで、旧国会議事堂(カピトリオ)だ。両大戦間期の1929年に立てられたこの建築物はアメリカ合衆国の国会議事堂を模している。砂糖景気によってもたらされた富が原資である。この建築物はキューバの独立がかりそめのものであり、アメリカ合衆国による「統治」が背景にあることを証明する。
  
そして三つ目、これが立憲モダニズムの象徴となるのだが、それは現在のキューバ内務省の入っている建物である。ゲバラのレリーフが正面に飾られているので、観光客は一度は目にする。

この建物は1953年(※)に建てられ、元は会計検査院が入っていた。著者によればこの建物が1940年憲法による市民社会の形成を象徴するものだ。

※訂正:会計検査院の建設は1954年(2018/1/11訂正)

ウェブではかつての写真も出てくる。ゲバラのレリーフがない方がずっといいように見える。

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