Jeanmaire, Federico, Tacos altos, Anagrama, Barcelona, 2016.
アルゼンチン出身で『ドン・キホーテ』の研究でも知られている作家。1957年生まれ。
フェデリコ・ジャンメール。前回のハルウィッツに続き、この人もJeanmaireがどう発音されているのかは一応こちらで確認してみた。
この小説はすべて現在形で書かれている。
「私は中国人かしら?
わからない。
今はどうでもいい。
結局のところ、男であれ、女であれ、人生のどこかで自分が誰なのかを発見する瞬間があると思う。」
引用の最後の部分、ボルヘスの「タデオ・イシドロ・クルスの生涯」に似たような表現があったはずだ。
この主人公は中国生まれでアルゼンチン育ちという設定。著者によれば「中国の小説」として書かれたという。
アルゼンチンで2013年12月に警察のストがあった。
ストをきっかけにスーパーマーケットで略奪が行われ、中国系の店が対象になった。報道に中国人が命を落としたというのがあった。しかしその報道はとても小さかった。誰も気にも留めないほどに。
それがこの小説の着想の原点だという。
中国人の死を報じる記事の小ささには何か意図があるだろう。
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