2026年3月9日月曜日

3月9日

中島京子の『夢見る帝国図書館』(文春文庫)を読んでいるのと前後して台北に行ったら春節と重なった。実はすぐその後には二・二八が控えていた。李昂(リー・アン)の短篇集『海峡を渡る幽霊』(藤井省三訳、白水社)の帯には「中島京子氏推薦!」とあって、こういうつながりが嬉しくない人はいないよね。短篇「花嫁の死化粧」は二・二八事件の追悼行事を緊張感のある文体で、まるでカメラで写したかのように追っている。こう言っていいのかどうかわからないが、カメラの「語り」が聞こえてくるような感覚がある。戒厳令下で拘束された政治犯の収容所跡が国家人権博物館に行った。リー・アンは戒厳令が解けたあと、民主化の時代に、バスケスやハン・ガンとも通底する筆致で書いている作家だ。彼女の『自伝の小説』(国書刊行会)は、パドゥーラの『わが人生の小説』(水声社)と「つくり」や目指すところに共通のものがある。東アジアの場合には植民地期とポスト植民地期では言語が異なるので、そのぶん複雑化するのだが。

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