2部0章続き。
状況としては、前のエントリーで書いたようにイキートスからやってきたドン・フリオ(レアテギ)が、行政官のドン・ファビオ(クエスタ)と共に伝道所へ行き、修道院長とマザー・グリセルダと面会する。フリオは4年前に知り合ったボニファシアともう一人の少女をイキートスに連れて帰ろうとするが、ボニファシアが態度を硬化させたので断念する。
フリオ・レアテギはまるで少女を家政婦として働かせるために連れて帰ろうというので、マザーたちが難色を示す。
Él lo sabía de sobra, madre, por eso él y su señora siempre colaboraron con la misión, si había algún inconveniente no pasaba nada, madre, no se dijo nada, por favor que no se preocupara. La superiora no se preocupaba por ellos, don Julio, sabía que la señora Reátegui era muy piadosa y que la niña estaría en buenas manos. El doctor Portillo era el mejor abogado de Iquitos, madre, ex diputado, si no se tratara de una familia decente, conocida, ¿se habría atrevido Julio Reátegui a hacer esa gestión? Pero le repetía que no pensara más en eso, madre, y la superiora sonríe de nuevo: ¿se había enfadado con ella? (p.146-147)
「わかっていますよマザー、ですから彼も妻もいつも伝道所とは協力しているのです、なにか不都合があっても大丈夫ですマザー、おおやけになることはありません、どうか心配なさらずに。修道院長はなにも心配していませんよドン・フリオ、レアテギ夫人が慈悲深い方で、少女が信頼できる人の手に委ねられることはわかっています。ポルティーリョ先生はイキートスで一番の弁護士ですマザー、元議員です、もし家柄の良い有名な家系の出でなかったら、フリオ・レアテギはその手順を踏もうとしたでしょうか?しかし彼は、繰り返しますがその点についてはもう考えないでくださいマザー、すると修道院長は再び微笑む--彼は彼女に腹を立てているのかしら?」
フランス語訳では下線部は次のようになっている。スペイン語と同じといえば同じ。
Me Portillo était le meilleur avocat d'Iquitos, ancien député, s'il ne s'agissait pas d'une bonne famille connue, Julio Reátegui se serait-il permis de faire cette démarche?(La Maison verte, Éditions Gallimard, 1969, p.114)
この下線部について、スペイン語では主語は省略できるが、madre(マザー)という呼びかけ語があるので、se habría atrevidoだけでもフリオ・レアテギが主語であることは判断可能だろう。しかしこのようにフルネームで表記されていると、地の文のようにも読める。そして地の文だとすると、フリオ・レアテギの内面の声のようにも読めてくる。自由間接話法特有の、地の文でもあり声でもある二重性があらわれている箇所だ。しかし日本語は、地の文と実際の声では決定的に異なる。「フリオ・レアテギはその手順を踏もうとしたでしょうか?」なら発話。しかし主語がフルネームで違和感を感じるだろう。「フリオ・レアテギはその手順を踏もうとしただろうか?」なら地の文。
2部1章Aは、再びチカイスにいるel sargento(軍曹がピウラ出身であることがわかるのがここ)、el Pesado、el Chiquito、el Rubio、案内人Adrián Nieves。
このパートは自由間接話法はなさそうにはじまって、やはり出てくるがわかりやすい。伝道所から逃げ出した先住民少女たちを探している。男たちだけの下品な会話の後、眠りにつく。軍曹だけが眠らず、案内人ニエベスと話。最後の部分は次の通り。
—En cambio, usted es una buena persona, sargento —dijo Nieves—. Hace tiempo que estoy por decírselo. El único que me trata con educación.
—Porque lo estimo mucho, don Adrián —dijo el sargento—. Siempre le he dicho que me gustaría ser su amigo. Pero usted no se junta con nadie, es un solitario.
—Ahora será mi amigo —sonrió Nieves—. Un día de éstos vendrá a comer a mi casa y le pre- sentaré a Lalita. Y a esa que hizo escapar a las niñas.
—¿Cómo? ¿La Bonifacia esa vive con ustedes? —dijo el sargento—. Yo creía que se había ido del pueblo.
—No tenía donde ir y la hemos recogido —dijo Nieves—. Pero no lo cuente, no quiere que sepan dónde está, porque es medio monja todavía, se muere de miedo de los hombres.(La casa verde, p.160)
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