2021年8月4日水曜日

朝鮮戦争とコロンビア(2)アンドレス・フェリペ・ソラーノ

文藝年鑑(2021)でも少し書いたのだが、コロンビアは朝鮮戦争に兵士を送り、そのコロンビア兵の経験をコロンビア作家が書いている。

その中で、ソウル在住のコロンビア作家アンドレス・フェリペ・ソラーノの『Cementerios de neón』(2016)は、先に紹介したフアン・ガブリエル・バスケスの短篇と並んで、特筆に値する長篇小説だろう。

行方をくらましていた叔父(帰還兵で、戦争中捕虜になった)が突然、ソウルに住む甥を訪ねて、ある依頼をする。叔父の停泊するホテルには戦争中に慰問に訪れたマリリン・モンローの写真が飾ってある。

Andrés Felipe Solano, Cementerios de neón, Tusquets, 2016. 



この『Cementerios de neón』は、本人が兵士として朝鮮半島に行ったプエルト・リコ作家エミリオ・ディアス・バルカルセルによって、戦争のすぐ後に書かれた小説『Proceso en diciembre』(1963)とともに重要な小説である。ちなみにどちらの作品も日本は多かれ少なかれ関わってくる。

アンドレス・フェリペ・ソラーノには、韓国生活の記録『Corea: Apuntes desde la cuerda floja』があり、ここでは冒頭から朝鮮で戦ったコロンビア兵士の話が出てくる。おそらくこのエピソードが下敷きとなって小説が書かれたのだろう。

Andrés Felipe Solano, Corea: Apuntes desde la cuerda floja, Editorilal Barret, 2015.

 


ボゴタには朝鮮戦争の戦死者や帰還兵をたたえるメモリアルタワーがある。そこでの記念式典の模様から物語を展開したのが、フアン・ガブリエル・バスケス(1973年生まれ)。アンドレス・フェリペ・ソラーノは1977年生まれ。

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