2020年3月20日金曜日

アントニオ・ホセ・ポンテの新作

アントニオ・ホセ・ポンテの新作。

キューバ作家のフェルミン・ガボールの原稿をアントニオ・ホセ・ポンテがまとめた。

Fermín Gabor, La lengua suelta(Edición de Antonio José Ponte), Renacimiento, Sevilla, 2020.

表紙・タイトルはこのようになっている。



著者名は確かに、フェルミン・ガボール(Fermín Gabor)とある。

本のタイトルは「La Lengua suelta」。これは、「うっかり口を滑らして言ってしまったこと」いうような意味ととっておく。

フェルミン・ガボールが書いたさまざまな原稿があり、それをアントニオ・ホセ・ポンテが編集してまとめたもの、という表紙になっている(Edición de Antonio José Ponte)。

フェルミン・ガボールとは何者か?どうやら筆名らしい。ブダペストに住んでいるキューバ作家だとか。

実はウェブ、Habana Eleganteにフェルミン・ガボールの連載コラムがあって、そのコラムの名前が「La lengua suelta」なのだ。そして、この本はなるほど、そのコラムなどの原稿をまとめたものではある。

アントニオ・ホセ・ポンテの序文の冒頭は以下のように始まっている。

「 フェルミン・ガボールが、コラム『La lengua suela』でとりあげていた人々ーー作家、編集者、政治委員、大臣、密告者などなどーーよりも早くこの世から消えてしまったのは残念でならない。この本にまとめたもの以上に彼の原稿がないことは残念でならない。さらに、彼に言及された多くの人々が生き続けていることも残念でならない。文字通り意味なく生き延びているだけだというのに。」

さて、ガボールとは誰だろうか? ガボールとはポンテなのか? それとも、もっと多くの人の匿名の声の集合なのか?

本は分厚い。700ページ以上あって、後半は、前半に出てくる実在の人名について、ポンテがアルファベット順に並べて注をつけたパートである。

ま、いろんな人が出てくる。ビルヒリオ・ピニェーラ、レイナルド・アレナス、アンブローシオ・フォルネー、ホルヘ・フォルネー、カルラ・スアレスなどなど。

とても壮大な仕掛けだ。面白い。

ちょうど、Cuadernos hispanoamericanos(836号)でポンテのインタビューが掲載されている。この本の話もしている。


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最近キューバ関係の本のうち半分を整理してようやく本棚にざっとおさめた。長かった。床に積み上げる方が本はたくさん置ける。でもそれではいざという時に出てこない。


コロナウィルスが原因で大学の授業開始は2週間繰り下げになった。

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