2019年8月25日日曜日

メキシコシティの文学

「メキシコシティ」というのは英語なのだが、飛行機のアナウンスで「当機は間もなくメキシコシティに着陸します」というのを聞き慣れている。それを聞くと、なんとなくわくわくする。

やはり日本語でもメキシコの首都はメキシコシティなのだ。

スペイン語では「D.F.(デー・エフェ)」と言えばメキシコシティの意味だった。

DとFはDistrito Federal(連邦区)からだが、そう言えば『連邦区マドリード』という小説もありました。あれも当然、デー・エフェである。マドリードって連邦区だったんですね。

それが今や「CDMX」(Ciudad de México)である。そうなってみると、DF時代が懐かしくなってくるのだろう。

メキシコDF本がかなり出ている(ような気がした)。

そのなかで短篇アンソロジーを一冊。



Bernardo Esquinca y Viente Quirarte(ed.), Ciudad Fantasma: Relato fantástico de la Ciudad de México[XIX-XXI], Almadía, Ciudad de México, 2017.

19世紀から21世紀までのメキシコシティを舞台とする「ゴシック・幻想短篇選集」。

古いところでは、アルフォンソ・レイエス、カルロス・フェンテス、ホセ・エミリオ・パチェコら。

新しいのは、どれも知らなかったけれど、ベルナルド・フェルナンデス、ゴンサロ・ソルテロとか。

「Espejos(鏡)」という短篇が面白かったビビアナ・カマチョ(Bibiana Camacho, 1974年生まれ)は短篇集が同じ出版社から出ていた。授業で一つくらい使えないかなあと思って読んでいる。スリラー短篇だから読みやすいのだが、ちょっと進むとどぎつい表現があって、というパターンが多い(当たり前だが)。

Bibiana Camacho, Jaulas vacías, Almadía, Ciudad de México, 2019.




ボラーニョが通っていたという「カフェ・ハバナ」にも行ってみた。店は広々としていて、壁にこんなプレートがかかっていた。


シウダデラ市場から歩いて行けるとは知らなかった。ブカレリ通りとモレーロス街の角。ここからソナ・ロサまで歩いていけないこともない。その途中にあるソナ・ロサ北東部には新しい路面店が次々にできているようで、いい雰囲気があった。

メキシコシティの石畳の街路を歩いていると、ふとベルリンではないかと思う時がある。目をつぶって連れてこられたら、ベルリンとメキシコシティのどちらか言い当てることができるだろうか。どう似ているのかというと、どちらの街も「ゆるい」。

ゆるいっていい単語だなあ。

下はほとんどひと気のないシウダデラ市場。

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