去る6月10日、キューバのレオナルド・パドゥーラがスペインのアストゥリアス皇太子賞(文学)を受賞した。
パドゥーラはカルペンティエルの研究書を出したこともある。1955年生まれ。
スペインの「エル・パイース」紙では受賞をこのように報じている。
この賞はいくつかの部門に分かれていて、Wikipediaで歴代の各賞受賞者がわかる。
あの1989年のキューバをハードボイルド・タッチの推理小説として描いた下の4部作は残念ながら、一作も日本語になっていない。
『完璧な過去』(Pasado perfecto, 1991)
『四旬節の風』(Vientos de cuaresma, 1994)
『仮面』(Máscaras, 1997)
『秋の風景』(Paisaje de otoño, 1998)
このなかでは、ゲイをテーマにした『仮面』が記憶に残っているが、作者は少し流行ものに手を出したと思っているようだ。
邦訳としてあるのは、この4部作と同じ主人公マリオ・コンデものの以下の小説。
『アディオス・ヘミングウェイ』(宮崎真紀訳)ランダムハウス講談社文庫、2007年。
また短篇では、「狩猟者」が「すばる」2004年11月号に載っている。
私が『仮面』を読んだのは、前世紀のこと、15年前くらいだ。あのころ、日本でキューバのハードボイルド小説に注目しようとした人はほとんどいなかった。
この小説が、(ソ連)帝国の崩壊を描いていることに気づけた人もほとんどいなかった(自分も含めて)。
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