Shu-Mei Shih(史書美)の論文「Comparison as Relation」(関係としての比較」)。誰か日本語に訳してほしい。グリッサンの『関係の詩学』を踏まえている。彼女は「The Plantation Arc(プランテーション・アーク)」を提起。これは西インド、アメリカ大陸の南、東インドを同じ構造で考えること。奴隷制のもと組織化されたプランテーション・システムの構造を出発点に、それぞれの地域で相互に関係しているが異なる一つのルートをたどること。関係としての比較。柴崎友香『帰れない探偵』からは「昔の地図が、きれいすぎる気がした。(中略)もし、書き換えられているとしたら、高い技術があり、周到に行われている」(19)、「資料は、よく整理されていた。むしろ、整理されすぎている気がした」(63)など。記録の書き換え、消去、記憶の不確かさ。もとに帰れない探偵。消えてしまった探偵の家への路地。うっすらと恐怖が立ち上がってくる。また「誰かが話すそのとき、その人が見ている光景。いつか確かに見た光景。(中略)わたしはそれが見たいのに、ずっと見ることができない」(71)から、当事者と語り手の距離感。
今日は6月30日。
0 件のコメント:
コメントを投稿