2024年9月2日月曜日

9月2日 近況


前便の続きで、小池東京都知事の記者会見の表現は、政府答弁書と違って本人の表現のように見えるが、すでに「答え」が用意されている。

昨年(2023年8月18日)の記者会見で、追悼文を送付しないことについて質問されると、

「私は慰霊大法要において都知事といたしまして、先の関東大震災、また大戦で犠牲となられた全ての方々への哀悼の意を表しております。震災による極度の混乱下での事情で犠牲となられた方々も含めて全ての方々に対しまして慰霊する気持ちを改めまして表すということで、私自身は対応してまいったところでございます。これは以前もお伝えをしている通りであります。以上です。」(下線引用者)

今年の8月23日の記者会見では、「虐殺についてその事実をお認めになるか、知事のご認識、お考えを聞かせください」と問われ、

「これについては、様々な研究や様々な文献などお調べになっているのかと思います。それについては、それぞれが研究されておられることだと思いますが、私自身はこの、よくこの慰霊の追悼文を出さないのかということを問われているところでございますけれども、毎年、この東京都の慰霊堂で開かれる大法要で、震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方も含めて、全ての方々に対して慰霊する気持ちを改めて表しているところでございます。じゃあ読売さん。」

翌週の8月30日の記者会見では、

「これはもう何度もお答えしておりますけれども、慰霊大法要を行います。都知事として先の関東大震災及び大戦で犠牲となられた全ての方々への哀悼の意を表させていただいております。震災による極度の混乱下での事情で犠牲となった方々も含めまして、全ての方々に対して慰霊する気持ちを改めて表すということで私自身は対応してきたわけでございます。この考えは今後とも変わらないということです。」

虐殺された人のことは、常に「極度の混乱下での事情で犠牲となった」とする。記者会見の動画を見てみると、この部分を答えるときには原稿を読んでいる。つまり答えが用意されている。

8月30日では虐殺についての研究について、「その様々な研究の中には虐殺はなかったという研究も含まれるんでしょうか」という質問に対して、

「様々な研究があるということです。よろしいですか。今日は以上です。」

つまり、「虐殺はなかった」という研究が含まれて「いない」とは言っていない。記者会見から判断すると、2024年の今年から、「虐殺がなかったという説もあり」に傾いてきている。

虐殺という表現を避けて「極度の混乱で犠牲になった方」と言い、虐殺について「様々な研究がある」といい、そこには「虐殺がなかったとする研究」も含まれている。

ちょうどチリ映画『エターナルメモリー』を見たところだ。


0 件のコメント:

コメントを投稿