2018年の本。
William Rowlandson, Sartre in Cuba-Cuba in Sartre, Palgrave Macmillan, 2018.
序文にはこうある。
「これは、革命が始まった時の、ジャン=ポール・サルトルとシモーヌ・ボーヴォワールが行なったキューバ旅行の報告(account)である。」
accountには、報告のほかに、説明とか答弁とか、勘定書という意味もある。
序文は続く。
「旅行に関する彼らの報告についての報告(account of their accounts)である。」
「出版後、ほんの数ヶ月で著者サルトルによって葬られた彼の報告についての報告(account of Sartre's account)である。」
「その時と同じ旅行についてノートの形で存在したサルトルの報告についての報告(account of Sartre's other account)である。そのノートは著者の手で放置され、出版から50年後、彼の没後30年経って発見されるまで、埃っぽい図書館の倉庫に保管されていたのだった。」
「最高潮にある革命に向き合った革命の学徒、革命の擁護者ーー革命家ーーについての報告である。その革命に参加した革命家たちは、サルトルを革命の同志としてだけでなく、革命を鼓舞してくれたものとして称賛した。」【ここは大意】
「サルトルとボーヴォワールの目が見た、動揺するキューバ革命の初期についての報告、二人が行なったキューバ、フィデル・カストロ、エルネスト・チェ・ゲバラ、経済、政治的緊張、正義と不正義、暴力と恐怖についての報告である。」
「さらに、サルトルとボーヴォワールのキューバ旅行に関する他の人々の報告であり、また、サルトルとボーヴォワールのキューバ旅行報告をめぐる他の人々の報告についての報告でもある。
サルトルのキューバ報告は、無視され、未開拓である。
その報告はカストロへの盲目的な称賛、『恥ずかしげもないプロパガンダ』として非難されてきた。
『クリシエ』であり、『称賛』であり、『表層的分析』であると批判されてきた。
それらは「狂っていて』、『理解不能』だと言われた。
サルトルは純真すぎると言われた。
サルトルは同伴者作家(fellow traveller)と言われた。」
「この本はこうした非難を疑問に付すものである。サルトルのキューバ・テキストはプロパガンダだったのか?盲目的な称賛なのか?彼は純真すぎたのか?
この本は、サルトルと革命の複雑な関係、彼の1960年以前のキューバに関する知識、キューバ人との友情、フィデル・カストロと回った陸路の旅行、ゲバラとの会談、キューバ史に関する知識、革命を必要だとする彼の主張、1960年代を通しての彼の革命擁護、カストロと革命体制がとる新しい方策について彼が抱いていた懸念を探究するものである。
この本はキューバがサルトルに与えた衝撃とサルトルがキューバに与えた衝撃を査定するものである。」
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