2018年12月19日水曜日

キュアロン&セルジオ

アルフォンソ・キュアロン監督のメキシコ映画『ローマ(Roma)』をみた。

1970年代初頭のメキシコシティ、ローマ地区(Colonia Roma)に暮らす中流階級の上の方(Clase media alta、アッパーミドル)に属する家族の物語。

キュアロン監督は1961年生まれなので、彼が10歳くらいのときの、かなり自伝的で、当時の地区の雰囲気を再現したものなのだろう。

大きな屋敷で、大きな車があって、家族も大きくて(3世代)、父は留守で(場合によっては家を出ていて)、住み込みの使用人がいる。メキシコシティに住んだ経験のある人なら、こういう家は結構想像がつくのではないか。

ストーリーには、この映画を賞賛しているエレナ・ポニアトウスカの短篇「El limbo」(『De noche vienes』所収)と少々似通ったところがある。使用人の女性が妊娠してしまったのを、彼女を雇っている家族が助けようとするというエピソードだ。

その後、エルネスト・ダラーナス監督のキューバ映画『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』をみた。

こちらの方は1991年のハバナ、セントロ・ハバナ地区に暮らす家族と、宇宙ステーションにいるロシア人の話。

ダラーナス監督はキュアロン監督と同じ年に生まれ、1990年代の経済危機の頃は30代だった。監督によれば、その時の思い出はむしろ素晴らしかったとのことで(映画パンフレットに載っていたインタビュー)、だからファンタジーとして描くことができたのだろう。

いかだを作ったり、密造酒を作ったりして、なんとか切り抜けたキューバ人たちが出てくるが、こういうエピソードは多くの作家がいろんな小説で描いている。

主人公はアマチュア無線を趣味として、マルクス主義を教える大学の先生で、大学のシーンも多々出てくる。撮影場所として使われたのは国立芸術学校(ENA)だろう。

映画についての辛口の批判は例えばこちら

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