今回の作品は『Minefieldーー記憶の地雷原』という。
5年前の『憂鬱とデモ』(やはり京都にきた)という作品は、自身と母親との関係を語るある意味オートフィクションで、自身も出演し、歌も歌い、映像を通じて母親も登場させていた。
そして今回は、フォークランド紛争/マルビーナス戦争を題材にとった。
実際の戦争帰還兵6名が出演するという衝撃的な作品である。
アルゼンチンから3名、そしてイギリスから3名、1982年に実際に島に赴いた人たちが、自らの経験を語りながら、ドラマは進む。
当時の音声、映像、雑誌などを通じて示される戦争の実態と、その時にいた彼らの立場、そしてそれを振り返る今の「彼ら」。
当事者本人が出演するというのでは、イーストウッドの映画『15時17分、パリ行き』と同じだが、30年以上を経て、当時の構図では敵と味方を対面させていることに、驚きを感じざるを得なかった。
5年前と今回の作品で、字幕を日本語にする機会に恵まれ、今回は、カンパニーの人たちと、たとえ短時間でも間近で過ごすことができた。
製作の間、ロラと出演者たちでは激しいやりとりがあったらしい。それはそうだろう。出来上がった作品は出演した彼らにとって、一種のセラピーとしても機能してはいる。
でも笑いもある。今回は初日に見たが、適度に観客から笑いが出ていて、それが良かったように思う。
これまで世界各国で100回以上上演し、日本の後は、再びヨーロッパ、来年はアメリカにも行くそうだ。
出演者はプロの役者ではないから、それぞれ仕事がある。それをほっぽり出して世界を回っている。
ロラ・アリアスにはぜひこの作品のプロダクション・ノートを書いて欲しいなあ。
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