フォークナーがノーベル文学賞を受賞したのは1949年。それから13年後の1962年の7月に64歳で亡くなる。
集英社の世界文学大事典には少し書かれているが、ノーベル賞受賞後の彼は、アメリカ国務省の文化使節として各国を訪れている。その中に1955年の来日があったことは日本では語り継がれている。
最近知ったのだが、それと前後するようにして彼はラテンアメリカにも訪れ、ラテンアメリカ文学を英訳するプロジェクトを立ち上げている(Ibero-American Novel Project、略してINAP)。
このような経緯をアメリカの研究者Deborah Cohnさんが幾つかの論文で発表している。著書としてまとめたのは以下のもの。
Cohn, Deborah, The Latin American Literary Boom and U.S. Nationalism during the Cold War, Vanderbilt University Press, 2012.
冷戦期のアメリカ合州国とラテンアメリカ文学を論じている。冷戦期のラテンアメリカ文学について、ドルフマンの『南に向かい(…)』と合わせて読んでいる。
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バスケスの『コスタグアナ秘史』を訳した時には知らなかったラテンアメリカ作家とコンラッドについて。
1993年ブラジルのルベン・フォンセカ(Rubem Fonseca, 1925-)がコンラッドをモチーフにした短篇を書いている。スペイン語訳は2012年にチリから出ている。
Fonseca, Rubem, Novela negra y otras historias, Tajamar Editores, Santiago de Chile, 2012.
現物は未見なのだが、短篇のタイトルは "Llamaradas en las tinieblas, Fragmentos del diario secreto de Teodor Konrad Nalecz Korzeniowski"。
スティーヴン・クレインとの友情にまつわるコンラッドの「偽日記」を仕立てたものらしい。
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