ちなみにこのアンソロジーのタイトルの単数名詞(cuento)に冠詞がついていないので、なんとなく座りが悪いような気がしていた。たまたま本を見せたスペイン人の先生もそのような印象を抱いたようだった。
短篇を読み進めてみると、大使館勤務の男がプエルト・リコからケニアへと赴任していき、そこで謎のスペイン人男性と出会うという展開だった。
tinieblaという単語が出て来る。África, tinieblaとくれば、コンラッド『El corazón de las tinieblas』を思わざるを得ない。
たとえばこんな一節がある
Ninguno de ellos hubiera tenido una palabra que decir a los otros en caso de ser vecinos en una ciudad española y, no obstante, todos coincidían en una cosa: creían estar perdiéndose algo fundamental.
アフリカに住んでいる数少ないスペイン人がどんな風に暮らしているのか。 というよりも、海外へ渡った植民者がどういう暮らしをしているのかを書いている。文体はかちっとしていて、読みやすい。
外国語で書かれたものを、文法やその他スペイン語力をつけることを目的として読むとき、読んでいる目の前の文章を100%理解することに一生懸命になりすぎる必要はないと考えている。日本語の文章を読むときにも、あんまり内容を理解しないまま先に進んでいき、あるところでハっと思って遡及的に読んで理解することはあるはずだ。
感覚的には80%ぐらいの理解度で読み進め、あとの20%はフリーハンドな状態にしておいたほうが、あとから読み直す楽しみも生まれるような気がする。
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