2017年11月14日火曜日

『コスタグアナ秘史』その後

日本コンラッド協会第3回全国大会で、フアン・ガブリエル・バスケス『コスタグアナ秘史』について話した時に使った本は以下の通り。

『ノストローモ』のスペイン語版。フアン・マテオス・デ・ディエゴ(Juan Mateos de Diego)の訳で、この人の訳が初めてスペイン語で出たのは1926年。そしてそれが、例えば下のように今でも売っている(Laertes出版、バルセロナ、1980年)。


普及版は、たぶんアリアンサ出版のポケット版。翻訳者はアルベルト・アデル(Arlberto Adell)。


バスケスが序文を書いているのが以下のもの。こちらは翻訳はオルガ・ガルシア・アラバル(Olga García Arrabal)。書誌データは、Joseph Conrad, Nostromo, verticales de bolsillo, Barcelona, 2007.


バスケスが書いた『コンラッド伝』はこれ。Juan Gabriel Vásquez, Joseph Conrad: El hombre de ninguna parte, Panamericana, Bogotá, 2004. この本を書いている時に、バスケスは『コスタグアナ秘史』となる作品があるべきだと思った。


『ノストローモ』を踏まえたボルヘスの短篇「グアヤキル」は『ブロディーの報告書』(岩波文庫、鼓直訳)に入っている。


歴史小説としてみた時、『コスタグアナ秘史』と実によく似た小説がある。それがこれだ。


ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの凄まじい人生』(新潮社、都甲幸治・久保尚美訳)と『コスタグアナ秘史』は、奇しくも同じ2007年に出版されている。

そしてこの『オスカー・ワオ』はバルガス=リョサの『チボの狂宴』(作品社、八重樫克彦・八重樫由貴子訳)の「書き直し」でもある。

『コスタグアナ秘史』が『百年の孤独』や『ノストローモ』の書き直しであるように。

いずれ『コスタグアナ秘史』を『オスカー・ワオの凄まじい人生』と比較しながら、カリブの「書き直し」文学作品として論じようと思う。

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