ヘスス・ディアスの短篇集が届いた。
Díaz, Jesús, Canto de amor y de guerra, Editorial Letras Cubanas, La Habana, 1979.
表題作「愛と戦争の歌」では、キューバ人の男とロシア人のマーシャが、ピスカリョフ墓地を訪れる。レニングラードにある記念墓地である。
ネヴァ川、アヴローラ艦、モイカ川、運河、カザン大聖堂、スモリヌイ学院、冬宮殿などの風景の中から、特別な扱いを受けるのがこの墓地だ。
キューバ人はキューバに帰る直前だ。
マーシャはそこに展示されている文句をロシア語からスペイン語に翻訳して伝える。
聞いているうちに、その詩がレニングラード封鎖という文脈を超えて聞こえてくる。
「僕はベトナムのことを、有毒ガスのことを、枯葉剤のことを、ナパーム弾のことを、対人地雷のことを、その他無数の洗練された忌まわしい装置のことを考えざるを得なかった。ヤンキー帝国主義は今、ちょうどその瞬間、まさにその瞬間に投下している。1966年10月3日10時15分、ベトナムの英雄的な大地の上に。 」
キューバ人は思い出す。ホテルでインド人がハノイ爆撃に抗議しようと提案していた。世界中で同時刻に抗議の声を上げるのだと。東京は夜、オスロは昼、アルジェは午後だ。みんなで同時に叫ぼう。「ノー」と。
チェがフィデルに宛てた手紙の文句が思い出される。「どこであろうと帝国主義のために戦うこと」
ターニャの日記をマーシャは翻訳する。
「サーヴィチェフ一家は死んだ
全員死んだ。
ただ一人、ターニャだけが残った。」
出発の時がきたキューバ人は言い残す。「さようなら、同志よ、祖国か死か、万歳」
この短篇を、ホルヘ・フォルネーは「キューバ社会主義リアリズムの傑作」と評している。
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