2014年12月20日土曜日

ブエノスアイレス恋愛事情

映画『ブエノスアイレス恋愛事情』はブエノスアイレスのサンタ・フェ街のマンションに暮らす30代の男女の物語である。

調べてみると、Wikipediaに日本語でこの映画の項目が立っていて、スペイン語よりもよほど詳しいストーリーの紹介が日本語で読める。

サンタ・フェ街というのはブエノスアイレスの中心部を走る大通り「7月9日通り」をパレルモのほうに向かって折れた道で、この道沿いには、たとえばブエノスアイレスの観光スポットとして頻繁に紹介されるアテネオ書店(El Ateneo Splendid)がある。



このサンタ・フェ街には両側にただひたすらに路面店が並んでいて、どこまで行っても尽きるところがないと思わせるほどの長い長い商店街である。地下鉄D線のベルグラーノ駅あたりまでは途切れることなく続いているのではないか。商店街と言ったが、片側2車線はある大きな通りだから、日本のいわゆる「商店街」のイメージとはまったく違うのだが。

だから、アテネオ書店など、中は広いが外から見れば商店の一つでしかないので、通り過ぎてしまうことだってあるに違いない。と、それからこの本屋は本の取り揃えにしても、店内の美観にしても、驚くほどのものではないから、無理して行かなくてもよい。

「ブエノスアイレス恋愛事情」には作家のアラン・パウルス(「ベルシアーニ事件」の作者)が少しだけ出ている。主人公の女性の元恋人という設定である。ご本人は作家で、映画でも演技らしい演技はしていないのだが、見栄えするいい男であるのは間違いない。


彼の一族は俳優一家だと聞いたことがある。すでに「ベルシアーニ事件」のエントリーで触れたが、弟のガストン・パウルスはいくつかの映画で見たことがある。


ガストンは映画「Nueve reinas」で、リカルド・ダリンと共演している。リカルド・ダリンといえば、「瞳の奥の秘密」で日本でも相当有名になったはずだ。「Nueve reinas」は、邦題は「Nine Queens 華麗なる詐欺師たち」となっていて、詐欺師ものである。この映画はハリウッドでリメイクされ、ジョージ・クルーニーが出ている。そちらは「クリミナル」というタイトル。

このまえたまたま見た「ステイト・オブ・ウォー」にもガストンは出ていた。この映画はマルビーナス戦争(フォークランド紛争)に従軍した兵士のその後を扱った硬派な映画だ。帰還兵の自殺は290名を超えている。この映画の原題は「Iluminados por el fuego」というもの。原題はわからなくなると困るので書いておく。

さて、サンタ・フェ街だが、映画の設定では、舞台となるマンションの番地は1200番ぐらいで、ここはサンタ・フェ街と「7月9日通り」の交差点付近にあたる。

サンタ・フェ街をそのままパレルモのほうに3200までいくと、そこに「アルト・パレルモ・ショッピング(Alto Palermo Shopping)」というモールがある。




1990年にオープンした、ブエノスアイレスでも最も古いショッピングモールの一つである。サンタ・フェ街とコロネル・ディアス通りの角。その角を右に折れると、ラス・エラス公園がある。



この公園は元は刑務所だった。確かアルト・パレルモ・ショッピングはビール工場跡だったはず。このあたり、パレルモ地区は昔はセントロから遥か遠い場末だった。いまは病院になっている区画も20世紀初頭は畜殺場だったのではなかったか。

いま、これを書いている12月のブエノスアイレスは夏。マンション住まいのポルテーニョたちは、プールサイドで水遊びしているだろう。プールはブエノスアイレスではpiletaという。


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