前便で触れた、シモン・グベレック(1903-1990)の文章の全体を収めたのが以下の本。
Simón Guberek, Yo vi crecer un país, Departamento Administrativo Nacional de Estadística, Bogotá, 1974.
序文を書いているのは、ルイス・ビダレス(Luis Vidales、1904-1990)。コロンビアの数少ない前衛詩人のひとりで、なるほど、創作のかたわらでこういうことをやっていたのだなあと思った。
この本の元原稿はイディッシュ語で書かれ、それは1973年にブエノスアイレスで出版されている。
その原稿に目を通して、若干スペイン語に手を入れたのがルイス・ビダレスなのだが、ビダレス以外にもこの本の出版に協力した人たち(10名以上)がいるようで、そのを記念写真が収められている。
なるほど、これはゴンブローヴィッチが『フェルディドゥルケ』のスペイン語翻訳版をブエノスアイレスの文壇と協力して出したのと同じようなことが、ボゴタでも起きていたということだ。
第1章:コロンビアへの移住まで。ポーランドのこと。
第2章:コロンビアのユダヤ人 パート1
ここが前便で紹介したバランキーリャから首都ボゴタへの移動
第3章:コロンビアのユダヤ人 パート2
ボゴタのユダヤ人経営のレストランにユダヤ人たちが集っていた話が語られている。レストランの店主はMax Szapiroという人。この店ではワインやウォッカ、90度以上の酒までが供され、ユダヤ人たちはコロンビア料理から故郷の料理まで楽しんでいた。しかもそこにはキューバから流れ着いたユダヤ人もいて、彼らの話す「キューバ語」に驚いたり喜んだり。多くのコロンビアのユダヤ人との付き合いが具体的に書かれていて、いずれこのブログでも紹介したいSalomón Brainskiへの言及もある。
第4章:グベレックの知り合ったアメリカ大陸の偉人たち
第5章:コロンビア各地を訪れたときの紀行だが、随筆風
ポパヤンに行ったときの話には、チラリとその地のユダヤ系作家ホルヘ・イサアクスに言及したり(「ポパヤンではエルサレムが息づいている」「ここにはかつて『マリア』の偉大な作者がいたのだった」)、カルタヘナへ行った時には異端審問所跡を訪ねたり。各地でユダヤ系の人びとと出会い、語らっている。
第6章:日常の出来事や旅日記など
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先日、京都で中東現代文学研究会に参加して発表してきた。
年始に「思想しつつ、生活しつつ、祈りつつ」という羽仁もと子の言葉を知った。
1月6日の夜の雪景色。
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