2017年1月31日火曜日

キューバ文学(42)ダマリス・カルデロン

前回のエントリーで紹介した詩集から1つ。

書いたのはダマリス・カルデロン。1967年生まれ。

A Marina Tsvetaieva

El frío
de un terrón de azúcar
en la lengua de una taza de té
de un pan que salta
en rebanadas sangrientas.
El oficio de lavaplatos,
las genuflexiones
y las manos que todavía
se sumergen
con cierta cordura.
los rojos
los blancos
las cabezas rapadas
y los cosacos
podrán echar mi puerta a patadas
o aparezca una cuerda
con que atar un baúl y colgarme
sin que me estremezca un centímetro.

マリーナ・ツヴェターエワに

冷たさ
角砂糖をひとつ
ティーカップの舌で
血がにじんで薄く
切られたパン。
皿洗い機の仕事
膝を片方ついて
それなりに正気で
まだ潜っている両手。
赤い人たち
白い人たち
髪の刈り込まれた頭たち
そしてコサック人は
私のドアを蹴破るかもしれない
あるいはトランクを縛り上げ、私を吊るす
ロープが出てくるかもしれない
私は少しもひるまないが。

2017年1月15日日曜日

キューバ文学(41)キューバ現代詩集『Island of my Hunger』

先日、このイベントを催した。そのこともあって詩集を引っ張り出してきた。

Morán, Francisco (ed.), Island of my Hunger: Cuban Poetry Today, City Lights Books, San Francisco, 2007.




キューバ現代詩人のアンソロジーでスペイン語・英語の対訳版である。

編者のモラン氏は1952年ハバナ生まれで詩人、評論家。キューバ文学・文化のオンライン・マガジンHabana Eleganteの編集も行っている。1994年からアメリカ在住。

モラン氏自身の詩も入っていて、総勢17名。1950年生まれ以降の詩人をセレクトしている。

ほとんど馴染みがない詩人ばかりなので、生誕年順に名前を挙げておこう。

ソレイダ・リオス(Soleida Ríos) 1950年生まれ
オルランド・ゴンサレス・エステバ(Orlando González Esteva) 1952年生まれ
レイナ・マリア・ロドリゲス(Reina María Rodríguez) 1952年生まれ
ヘスス・J・バルケー(Jesús J. Barquet) 1953年生まれ
アンヘル・エスコバル(Ángel Escobar) 1957ー1997
フェリックス・リサーラガ(Felix Lizárraga) 1959年生まれ
ロランド・サンチェス・メヒーアス(Rolando Sánchez Mejías) 1959年生まれ
ロヘリオ・サウンデル(Rogelio Saunders) 1963年生まれ
アントニオ・ホセ・ポンテ(Antonio José Ponte)1964年生まれ
オマール・ペレス(Omar Pérez) 1964年生まれ
ペドロ・ルイス・マルケス・デ・アルマス(Pedro Luis Marqués de Armas) 1965年生まれ
ヘルマン・ゲーラ(Germán Guerra) 1966年生まれ
ダマリス・カルデロン(Damaris Calderón) 1967年生まれ
アレッサンドラ・モリーナ(Alessandra Molina)1968年生まれ
カルロス・A・アギレラ(Carlos A. Aguilera) 1970年生まれ
ノルへ・エスピノサ(Norge Espinosa) 1971年生まれ

そういえば、ここには入っていないが、フアン・カルロス・フローレス(1962年生まれ、「ビルヒリオ・ピニェーラ」という詩がある)もよく名前を見かける詩人だ。彼は昨年9月に自殺した。

2017年1月1日日曜日

キューバ映画(15)『Clandestinos』(地下活動)

1987年のキューバ映画。

監督はフェルナンド・ペレス(1944年生まれ)。この映画は監督にとって初めての長篇映画。

実話を基にしたとのことで、脚本にはヘスス・ディアスの名前。

山脈で革命運動が進む中、都市ゲリラたちもバティスタと戦っていた。エルネストなどの革命支持派の若者たちは球場や収録中のテレビスタジオでビラを撒いたりして運動を続ける。

収監されていたエルネストはあるきっかけでネレイダと知り合う。釈放された後、仲間と合流したエルネストは、ネレイダが彼らと行動を共にしようとしていることを知る。しかし彼女は医者の父を持つ裕福な家庭に生まれた女。エルネストは反対したが、怪我をした時の優しい看病などを経て惹かれていく。

正式な結婚をしたがる仲間もいるが、エルネストは地下活動に差し障りがあると反対の立場。そんな仲間も次々に逮捕され、拷問を受けたり、死体となって発見されたり。

武器を略奪し、妊娠したネレイダと仲間とで潜伏するエルネストだが、裏切りもあって警察に取り囲まれる。

降伏の機会を与えらえるがエルネストは拒み、最後の戦いに挑む……

ゲリラたちがビルの屋根を伝って逃亡したり、銃撃戦が展開したり、アクション映画として見ることができる。

インタビューによると、監督はICAICに入った時から、革命、それも地下活動を題材にした映画を撮ろうと思っていた。革命運動に参加した若者とさほど年齢が変わらなかったこともあり、革命の成功に強い共感を抱いたのだという。そしてこのようなリアリズム映画が出来上がった。

数々の映画賞を受けたこの映画の後、ペレス監督は『ハロー、ヘミングウェイ』『人生は口笛のように』『永遠のハバナ』と名作を生んでいく。